ジョー・ギャラガーがモス・サイドのチャンプス・キャンプ・ジムの扉を初めてくぐったのは、彼が17歳のアマチュアボクサーだったときのことだ。
それから年月を重ねる中で、彼はジム創設者フィル・マーティンが無名のファイターたちを恐れられるチームへと変貌させていく歴史を目の当たりにした。
さらに重要だったのは、このジムが深刻な問題を抱える地域において希望の灯となり、そこに関わるすべての人々に誇りと居場所を与えていたということだ。
1993年当時、チャンプス・キャンプには4人の現役英国王者が在籍していた。
アマチュア時代に若いボクサーたちの指導にあたっていたときも、プロトレーナーとして多くの王者を抱えるジムを率いていたときも、ギャラガーが一貫して大切にしてきたのは「ボクシングは個人競技であっても、競争力と野心を持ったチームの一員であることが選手の成長を促す」という信念だった。
2015年の『ザ・リング・マガジン』年間最優秀トレーナーは、現在ふたたびチャンプス・キャンプに戻り、新たなチーム作りに取り組んでいる。
この由緒あるジムの階段を現在上っているファイターの中には、すでにチャンピオンシップレベルで活躍している者もいれば、プロとしての道を歩み始めたばかりの者もいる。だが、誰を指導するにしても、ギャラガーのやり方と理念は一貫して変わらない。
「これで俺のチームは5つ目になると思う」とギャラガーは
『ザ・リング・マガジン』に語った。
「俺はいつだって、お互いを高め合えるファイターたちのチームを作ってきた。前のチームを見ても、スコット・クィッグには、たとえばポール・バトラーがいて、スティーブン・スミスがいて、スコット・カードルがいた。アンソニー・クロラもカードルやスティーブン・スミスと動きを共にして、やがて
リアム・スミスと一緒にやるようになったんだ」
「ビッグサイズの選手たちなら、カラム・ジョンソン、ホセア・バートン、
カラム・スミス、ポール・スミスがいた。だからジム内でのスパーリングも、3人とか4人のグループで行われていてね。でも昨日、新しいチームにも言ったんだけど、彼らはスパーリングしてるけど、それでも質の高いスパーなんだよ」
トレーナーの中には、選手同士が一緒に練習し、軽めのテクニカルなスパーリングを行うことに満足する者もいるが、本格的なハードワークの段階に入ると、強度と競争力を高めるために外部からスパーリングパートナーを呼び寄せるケースもある。
ギャラガーはもちろん、試合が近づくにつれて選手それぞれに合わせた調整を行うが、「鋼は鋼によって鍛えられる」という格言を信じていることは明らかで、日々の練習でも選手同士が互いに刺激し合い、高め合うことを重視している。そうした共有された経験は、選手たちの技術を向上させるだけでなく、互いへのリスペクトを生み、絆を深めていく。成功するチームに欠かせない要素だ。
「いいか、スコット・クィッグとスティーブン・スミスなんか、お互いに本気で潰しにいってたし、ボディで倒し合ってた。ホセア・バートンとカラム・スミスのスパーなんて、まるで12ラウンドの試合みたいだったよ。でもそれは個人的なものじゃない。お互いの武器を研ぎ澄ますために、何をすべきか分かっていたんだ」とギャラガーは振り返った。
「もちろん外からスパーリングパートナーを呼ぶこともあるけど、あのチームの成長にとって鍵だったのはそこなんだと思う。そして今のチームでも、まさにそれをやっているところだ」
ギャラガーは、自身のジムに集まった才能あふれるスーパーフェザー級およびライト級の選手たちの存在を、互いに力を引き出し合う理想的なチームの好例として挙げている。
「見渡してみれば、
ゼルファ・バレットにはイングランドのジュニアライト級王者ジョシュ・ホームズがスパーリング相手としている」と彼は語った。「彼にはモハメド・アラケルもいるし、ヒューイ・マローンもいる。4人の若手がいて、背が低いやつ、高いやつ、中くらいのやつ、彼と同じくらいのやつがいる。それぞれが彼を高める存在だ。個人的なものじゃない。これは仕事であり、ビジネスなんだ」
その有望なグループとは別に、ギャラガーはこれまで積み重ねてきた取り組みと、育ててきたチームスピリットが、今後18カ月のうちに成果として現れ始めると確信している。
WBCヘビー級ランキング1位の
ローレンス・オコリーは、ケビン・レレナとの判定勝ちの試合で負った上腕二頭筋の断裂から回復中で、2026年中にはタイトル挑戦のチャンスが巡ってくる見込みだ。一方、元欧州クルーザー級王者のジャック・マッシーも、そろそろビッグファイトを迎える時期に来ている。
ジム内では他にも、ビリー・デニズがライトヘビー級でブレイク寸前の位置におり、マイキー・タロンはジュニアフライ級でタイトル戦に向けて急速に歩みを進めている。クラーク・スミスも着実に成長を続けている。
「前のチームでも、ダッシュの時やバッグ打ち、水泳なんかでも競争意識を持たせてやってたんだ。今のチームにも、その雰囲気をしっかり根づかせようとしてるところだ。今はプレッシャーをかけていって、来年に向けて準備を整えているところなんだ。2026年から2027年にかけては大きな年になる。ボクシングの世界で言うなら、“扉をくぐってタイトル戦に向かう”――みんながそういう段階に入ってくると期待してる」