ジェイミー“TKV”チケヴァは、土曜夜の激しい英国ヘビー級王座戦で
フレイザー・クラークに勝利した決め手は、自身のメンタルの強さだったと主張している。
20年以上ぶりとなるBBCのゴールデンタイムでのプロボクシング生中継にチャンネルを合わせた視聴者は、12ラウンドにわたる壮絶な攻防を目撃し、その末に32歳のロンドナーであるTKVが、文句なしの
スプリットデシジョン勝利を手にした。
4月、TKVは空位のベルトを懸けて
デビッド・アデレイと対戦した。試合は拮抗していたが、6回、レフェリーのロン・カーニーが「ブレーク」をコールした直後に放たれた一撃で
TKVは物議を醸しつつダウンを奪われ、その直後にストップされた。
今回は、自ら状況を掌握した。TKVはインサイドで見事なボクシングを展開し、クラークを崩し切った。
気合い十分のクラークによる序盤の猛攻を冷静にしのいだTKVは、試合の主導権を握ったように見えたが、11回の衝撃的なラッシュでそのパフォーマンスに決定的な印象を打ち立てた。そのラウンドを受け、多くの者が、2020年五輪銅メダリストであるクラークを最終ラウンドのゴングへ向かわせるべきだったのか疑問を抱いた。
クラーク(9勝2敗1分、7KO)はジャッジの採点を聞くところまでは耐え抜いたが、勝利を手にしたのはTKV(9勝2敗、5KO)だった。
TKVは試合後の会見で語った。「最高の気分だ。この気持ちを言葉で表すことなんてできない」
「本当に素晴らしい気分だ。ここまで来るために努力してきて、そして今ここにいる。うれしいし、舞い上がるほどだ」
TKVは264.9ポンドとキャリア最高体重で計量を終えた。この増量は、激しいインサイドの打ち合いで踏ん張り、強烈でクリーンなショットを受け止める助けにはなったかもしれないが、その一方で、36分という長い時間その体重を背負い続けなければならないということでもあった。
中盤に入る頃には、TKVの素早いハンドスピードと正確な左フックが試合の主導権を一定程度握っていたが、地元の観客に後押しされたクラークは決して折れようとしなかった。
タイトルが行方不明のまま揺れる中、TKVはチャンピオンシップラウンドで自らの内にある“もう一段深いところ”を引き出した。どんなファイターであっても、TKVが置かれたような試合展開の中で自分がどう反応するかを正確に予測することはできない。しかし、彼はその瞬間のために数か月にわたってメンタル面の準備をしてきたことを明かした。
TKVは自分の頭を指さしながらこう語った。「上を強くしておかないといけない」
「どれだけトレーニングをしたとしても、俺はここで多くの作業をしている。この試合がハードになることは分かっていたし、実際に厳しくなり始めたとき、俺は自分のメンタリティに戻った。自分に“これは乗り越えられる”と言い聞かせたんだ。そうしたら、試合を乗り切れた。だから神に感謝している。俺は上(頭)でも、そしてここでも(と拳を握りながら)トレーニングしてきたんだ」
クラークは、再戦の可能性を考える以前に、まず回復の時間が必要だ。しかしTKVは、美しいロンズデールベルトを手にする間もなく、ライバルにリターンマッチを与えるのかと尋ねられることになった。
「もちろんだ」と彼は語った。「再戦はいつだってできる。ファンとプロモーターが望むかどうか次第だ。様子を見てみよう」