昨年、IBF世界ウェルター級王者ジャロン・エニスとの対戦が発表されていたコーディ・クロウリーだったが、試合の約6週間前に眼の再負傷により手術を受け、夏に予定されていた一戦は無念のキャンセルとなった。
現在クロウリー(22勝0敗、9KO)は復帰に向けて準備を整えているが、現時点では状況を見守るしかない。というのも、エニス(33勝0敗、29KO)がWBA王者エイマンタス・スタニオニス(15勝0敗、9KO)との王座統一戦を控えているからだ。この一戦はアトランティック・シティで行われ、The Ring誌のタイトルも懸けられる、まさにウェルター級の頂上決戦となる。
「この試合は本当に楽しみだよ」とクロウリーは『ザ・リング』のインタビューで語った。「両者にとって賭けるものが大きい。勝負のカギは、どちらが先にリズムをつかんで主導権を握れるか。間違いなく打ち合いになるし、見ていて興奮する試合になるはずだ。俺としては、どちらとも戦ってみたいね」。
「スタニオニスは、ハートと覚悟を持ち、圧力をかけ続けるスタイルで、重いパンチと堅いアゴを武器に前に出るファイターだ。今回も同じような戦い方で来るだろう。重要なのは、ブーツ(=エニス)を深いラウンドまで引きずり込むこと。ブーツは反射神経と頭脳で戦うタイプ。だから“考える時間”を与えたらダメだ。そんな時間を与えたら、闘牛士が牛をあしらうように、リング中を支配されてしまう。スタニオニスは、ゴングが鳴った瞬間から最後のラウンドまで、ブーツに密着して、文字通り張り付いていなきゃならない。息をつく間も、回復する隙も、打開策を練る余地も与えてはならない。それが俺の作戦でもあった。ブーツを“窒息させる”つもりだった。結局は、試合当日にスタニオニスがどれだけ強い意志を持てるかにかかってるよ」。
「とはいえ、スタニオニスはブーツのスピードとタイミングという“壁”も越えなきゃならない。ジャロンは本当に多くのことを器用にこなす。12ラウンドを戦い抜けないようでは勝てる相手じゃない。ブーツは自分のペースで試合を進める。“チェスのような試合”をするんだ。スタニオニスが単純に前に出続けるだけでは、ジャロンの頭脳が仕掛けたすべての罠にハマっていくだけ。俺にはその光景が目に浮かぶ。ブーツは巧みにカウンターを当てて、スタニオニスに“墓穴を掘らせる”だろう」。
カナダ・ピーターボロ出身の32歳クロウリーは、2023年3月にアベル・ラモスとの試合で判定勝ちを収めて以来、リングから遠ざかっている。この勝利は、父ジム・クロウリーが自ら命を絶った数か月後に行われ、クロウリーにとって非常に重みのある試合となった。
元IBF指名挑戦者であるクロウリーは、いまもジャロン・エニスとの一戦を強く望んでいる。
「俺はいまでもウェルター級のトップファイターのひとりだと思ってる。ただ、大舞台でそれを証明するチャンスがまだなかっただけだ。時間の問題だと思ってるよ」とクロウリーは語る。「ランキングの頂点にいたのに、手術のせいで全部失った。ほとんど失明寸前までいったけど、今では視力も回復して体調も万全。精神的には本当にきつかったし、怖かった。でも、その経験が俺を強くした。いまはトレーニングも順調で、あとはチャンスを待つだけさ」。
Manouk Akopyanは『ザ・リング・マガジン』の主任ライターである。X(旧Twitter)およびInstagramでは@ManoukAkopyanで連絡可能。