【アトランティックシティ(ニュージャージー州)発】
順番は重要ではなかった──ジャロン・エニスにとって大事だったのは、2025年中に3試合をこなして、4団体時代で史上2人目のウェルター級完全統一王者になるという目標だった。そして彼は、土曜夜に自身初となる147ポンド王座統一戦で、間違いなくこの階級の“ナンバー2”と対峙すると確信している。
『ザ・リング・マガジン』のランキングで、エニス(33勝0敗、29KO、1無効試合)はウェルター級のナンバー1コンテンダー。対するエイマンタス・スタニオニス(15勝0敗、9KO、1無効試合)はナンバー2に位置している。
両者はボードウォーク・ホールで激突し、エニスのIBF王座、スタニオニスのWBA王座、そして空位の『リング』誌認定王座をかけて戦う。試合はDAZNで全世界ライブ配信され、アンダーカードは東部時間午後8時(太平洋時間午後5時)からスタート予定だ。
エニスは『ザ・リング・マガジン』に対し、リトアニア出身のスタニオニスが、WBC王者マリオ・バリオス(29勝2敗1分、18KO)やWBO王者ブライアン・ノーマン・ジュニア(27勝0敗、21KO)より優れていると語った。
「スタニオニスについての俺の考え? 素晴らしい選手、いい選手だよ。俺が1位で、彼が2位。ベスト同士の戦いだ。これはいい試合になる。ランキング通りの一戦だと思うし、バリオスやノーマンより強いと思う。スピードもあるし、リングIQもあの2人より高い」とエニスは語った。
27歳のフィラデルフィア出身エニスは、昨年IBF王座の任意防衛戦としてデビッド・アバネシヤンと戦い、さらにカレン・チュカジアンとの不可解な義務戦再戦を行ったことで批判を浴びた。エニスは7月13日、フィラデルフィアのウェルズ・ファーゴ・センターでアバネシヤン(31勝5敗1分、19KO)を5回TKOで下し、11月9日にはチュカジアン(24勝3敗、13KO)に判定勝ちを収めている。
しかし、アバネシヤン戦およびチュカジアン戦で露呈した守備の課題により、これまで“次世代のエリート”と称されてきたエニスが「倒せるかもしれない選手」として見られ始めたのも事実だ。だがエニスは、自身が本格的に王座統一を目指し始めた今こそ、潜在能力を発揮する時だと断言している。
「ついに、自分の望んでいたものが現実になってきて、すごくうれしい。みんな見ててくれよ。待ちきれない」とエニスは語った。
ブックメーカー「ドラフトキングス」は、エニスを6対1の本命と見ている。勝利すれば、エニスは次にバリオスかノーマンとの統一戦を希望している。
「今は目の前の相手に集中してる。目の前のことを片付けるだけ。スタニオニスを倒して、残りの2本のベルトを手に入れる。そのあとはまた考えればいい。でも今は、スタニオニスがすべてだ」とエニスは言う。
30歳のスタニオニスにとって、今回の一戦は11か月ぶりのリング復帰戦。前回は2024年5月4日、ラスベガスのTモバイル・アリーナで行われたカネロ対ムンギアのアンダーカードで、ベネズエラのガブリエル・マエストレ(6勝1敗1分、5KO)を判定で下している。
「彼の試合を前に見たことはあるけど、前戦は見てない。うちの親父(トレーナーのデレク“ボージー”エニス)がフィルム分析を全部やってくれる。彼はいい選手。パンチを多く出すし、前に出るスタイルだよ」とエニスは語った。
キース・アイデックは『ザ・リング・マガジン』のシニアライター兼コラムニスト。X(旧Twitter)では @idecboxing で連絡を取ることができる。