ジャロン・エニスは、まだ勝利の余韻に浸っている最中だというのに、早くもブライアン・ノーマンJr.の名前が彼の前に挙がっている。
先週土曜の夜、エニス(34勝0敗、30KO)は、エイマンタス・スタニオニスですら自身と渡り合うには力不足であることを証明してみせた。アトランティックシティのボードウォーク・ホールで激しい打撃を浴びせ続ける中、観客は総立ちとなり歓声を上げた。そして第6ラウンド終了後、スタニオニスの陣営が棄権を申し出たことで試合が止められると、場内はさらに大きな歓声に包まれた。
スタニオニスは実力ある選手だったことを、エニス自身も認めている。しかし、彼に対する敬意を口にし終える間もなく、「次は誰と?」というお決まりの質問が早くも飛んできた。
現在24歳のブライアン・ノーマンは、ウェルター級のWBO王座を保持している。もちろん、タイトルを次々と収集しているジャロン・エニスにとって、そのWBOベルトは、自身がすでに保持しているリング誌認定王座、IBF王座、そしてWBA王座と並べるにはうってつけの“ピース”だ。
とはいえ、一部では「エニスが圧倒的な才能を持つ一方で、ノーマンこそが彼を倒す唯一の存在かもしれない」と見る声もある。しかし、そうした意見を耳にしたエニスは、思わず腹を抱えて笑い出してしまった。
「ブライアン・ノーマンは強くないよ」と、勝利後に集まった記者団に対してエニスは笑いながら断言した。「あいつは大したことないんだ。」
エニスが圧巻のパフォーマンスで“破壊ショー”を演じる2週間前、ブライアン・ノーマン(27勝0敗、21KO)もまた、デリック・クエバスを第3ラウンドでストップし、そのまま病院送りにしている。
ウェルター級には、エニスの名前を公然と口にする選手はほとんどいない。だがノーマンは例外で、これまで繰り返しエニスに対戦を呼びかけてきた。新王者となったノーマンは、エニスの才能を過小評価しているわけではないが、「あらゆる面で自分も引けを取らない」と自信をのぞかせている。
だがエニスの頭に浮かぶ言葉は、「嘘つき」「話題作り」「かまってちゃん」といったものばかりだ。彼の見解では、ノーマンは本心では自分との試合を望んでなどおらず、ただ注目を集めるために名前を利用しているに過ぎない。
「アイツらは口だけだよ」とエニスは続けた。「俺の名前を使って、自分の知名度を上げようとしてるだけなんだ。」