IBF世界ウェルター級王者のジャロン「ブーツ」エニスは、本来であれば試合で勝ち取るべき世界王座を、団体の裁定によって与えられた。
だからこそ彼は、リングの上で実力で勝ち取る新たなタイトルを目指している。4月12日、アトランティックシティのボードウォーク・ホールで、WBA王者エイマンタス・スタニオニスとDAZNの興行で激突する予定だ。この一戦では、空位となっている『The Ring』誌の王座も懸けられ、ウェルター級のトップ2による頂上決戦となる。
「(王座統一戦を目指したのは)俺にとって大きな意味があった。だって俺はベルトを『与えられた』んだから」とエニスは『The Ring』誌のインタビューで語った。「これまで世界王座を懸けた試合を経験したことがなかった。でも今回は、自分の力で相手からベルトを奪い取る、真の王者になる感覚が味わえる。」
エニス(33勝0敗、29KO)は、2023年11月にIBFの暫定王者から正規王者へ昇格した。これは、同団体が当時のウェルター級4団体統一王者テレンス・クロフォードから王座を剥奪したことによるものだった。当時IBFは、クロフォードに対してエニスとの指名試合を義務づけていたが、クロフォードはエロール・スペンス・ジュニアとの再戦を優先していた。
「王座統一戦、そしてThe Ring王座を懸けた試合に出場できる機会を得られたことを嬉しく思っている」とエニスは語る。「The Ringのタイトルに挑める選手はそう多くない。この王座を手にすることは、自分にとって非常に重要だ。過去にこの王座を手にした選手は限られている。だからこそ、ここで俺の名前を刻み、伝説を築き、歴史を作るんだ。」
2023年11月、スーパーウェルター級のヴァージル・オルティス・ジュニアとの試合交渉を見送り、代わりにウェルター級で意義ある対戦を追い求めたエニス。この動きは一部で“対戦回避”とも受け取られたが、彼はこの階級でやり残したことを片付ける意志を示していた。
「ようやく望んでいた試合が実現できて、本当に嬉しい」とエニスは語った。「他人が何を言おうが気にしない。これは俺のための戦いだ。この試合に勝てば、俺はこの階級に自分の名を刻むことになる。スタニオニスは素晴らしいファイターだと思う。でも俺は勝って、大きなインパクトを残すつもりだ。」
スタニオニス(15勝0敗、9KO)は、27歳のエニスにとってキャリア最大の難敵となる。しかし、過去2年間でカレン・チュカジャン(2度対戦)、デビッド・アバネシャン、ロイマン・ビジャといった強豪を圧倒してきたエニスは、-650のオッズで圧倒的有利と見られている。
「間違いなく俺は、この大舞台に応えてみせるよ。俺のスキル、才能、実力を見せつける。今回の試合で、世界中に俺の存在を知らしめることになる」とエニスは語る。
「最高の展開になるはずだ。スタニオニスは前に出て多くのパンチを放つ圧力型のファイター。俺たちはそういう相手を歓迎する。4月12日には、圧倒的な試合を披露してみせる。」
Manouk Akopyanは『ザ・リング・マガジン』の主任ライターである。X(旧Twitter)およびInstagramでは@ManoukAkopyanで連絡可能。