ジャロン・エニスに批判が常に向けられているわけではない。彼はスピード、パワー、スキルのすべてを兼ね備えた、一流のファイターだ。だが、ここ数戦では“無敵”のイメージからやや遠ざかっている。
カレン・チュカジアン戦、そしてダビド・アバネシアン戦でのやや物足りないパフォーマンスにより、かつて「黄金の逸材」と称されたエニスは、「真価が問われる存在」として見られ始めている。
エニスは多弁なタイプではないが、周囲の動きには敏感だ。かつての熱心な支持者たちが、今では口を揃えて批判を続けている声にも、耳を傾けてきた。その中にポジティブな意見は多くないが、彼らを黙らせる舞台が土曜の夜に用意されている。
アトランティック・シティのボードウォーク・ホールで、エニス(33勝0敗、29KO)は同じウェルター級の王者エイマンタス・スタニオニスと対戦する。WBA王者であるスタニオニスは、書類上でも実力的にも、エニスにとって最大の試練となる相手だ。そして一部の識者は、スタニオニスが優勢だと見ている。
激しい打ち合い――血みどろの消耗戦――になることも、エニスにとっては望むところだ。スタニオニスを取り巻く期待の声も、フィラデルフィア出身のエニスにとってはむしろ好都合。ファンも評論家もスタニオニスをとことん持ち上げてくれればいい。なぜなら、その彼をリングに沈めたとき、エニス自身への評価は一層高まるからだ。
「俺がこの階級で一番だってことを見せてやるよ」とエニスはマッチルーム・ボクシングに語った。「そして、世界でもナンバーワンってこともな」。
一部のファンや関係者は、スタニオニスを「才能ある王者」と捉えているが、エニスにとって彼はすべてを変える“特効薬”とも言える存在だ。
27歳のエニスは、スタニオニス(15勝0敗、9KO)を最大限に評価している。「アイツはいい。いや、素晴らしい」と語る。だが、そんな実力者を倒すことこそが、自分を次のレベルへ引き上げる試金石になる。
すべてのボクサーと同様、エニスもまた「パウンド・フォー・パウンド」ファイターになることを夢見てきた。現時点では、その名前がP4Pリストの常連というわけではない。だが、スタニオニスを血に染め、圧倒してみせれば、その評価は一変する――エニスはそう信じている。
「この試合のあと、俺の名前はP4Pリストに載ることになるさ」。