昨年10月、ジャイ・オペタイアの持つIBFおよびリング誌認定のクルーザー級王座に挑み、善戦しながらも敗れたジャック・マッシーは、その後立て直しを図りながら、新たな世界王座挑戦に向けた日程が知らされるのを心待ちにしている。
ここ18か月で、英国の強豪がひしめくクルーザー級戦線は大きく様変わりしており、戦績22勝3敗(12KO)のマッシーの目の前からも、国内の有力ライバル2人が正式にその舞台を去った。
元WBO王者のローレンス・オコリーは、ブリッジャー級でWBC王座を獲得後、ヘビー級へ転向。昨年12月にはフセイン・ムハメドを初回で粉砕し、その圧巻の勝利でWBCランキング1位に一気に浮上した。
また、昨年6月のクリス・ビラム=スミス戦(当時WBO王者)で精彩を欠いたリチャード・リアクポールは、その後ヘビー級に転向。宿敵オコリーとの因縁の一戦でキャリアを再点火させたいと望んでいた。
しかし、リアクポールにとって不運だったのは、予定されていた4月5日のオコリー戦が、オコリーの負傷により中止となったことだ。
31歳のジャック・マッシーは、世界クラスのヘビー級ファイターと拳を交えることがどういうことかを身をもって知っている。2023年には元WBO世界王者のジョセフ・パーカーとの試合を受け、健闘の末に10回判定で敗れた。
だが、そのパフォーマンスは時を経て高く評価されることとなった。あの勝利をきっかけにパーカーは好調を維持し、WBO暫定王座を獲得、現在では『ザ・リング』誌のヘビー級ランキングで3位にまで上り詰めている。
その後マッシーはクルーザー級に戻り、アイザック・チェンバレンを下してコモンウェルス王座とヨーロッパ王座を獲得。それによりジャイ・オペタイアとの世界タイトル挑戦権を掴んだ。
マッシーは、マンチェスターのチャンプス・キャンプでオコリーとジムメイトとして汗を流しており、2019年にはリチャード・リアクポールとの間で空位の英国王座を争って敗れている。クルーザー級を離れたこの2人のライバルについて語るには、彼ほど適任な人物はいない。
「オコリーの話を直接聞いた限りでは、彼はクルーザー級で減量にかなり苦しんでいたみたいだ」とマッシーは『ザ・リング』に語った。
「彼はこの階級でもしっかりと体をキープできるし、体格的にも十分通用する。ただ、彼はすぐにヘビー級へ行ったわけじゃなく、まずブリッジャー級で試してからヘビー級へ移った。だから、うまくやっていけるんじゃないかな。
でも、やっぱり金銭面を見ないといけない時もある。クルーザー級にはお金がないし、ブリッジャー級に至ってはそれが顕著だ。だから、上の階級でチャンスがあるなら──行けるなら、行かない理由はないよね」
オコリーの転向については驚きはなかったというマッシーだが、リアクポールが“華やかな階級”ヘビー級へ挑戦するという話を聞いた時には、少し意外だったと眉をひそめた。
オコリーの転向が「ある種の必然」だったのに対し、マッシーは35歳のリアクポールの決断は「機会に乗じたもの」だと考えている。
「正直、驚いたよ。彼が減量に苦しんでいるようには見えなかったからね」とマッシーは語った。
「まあ本人は“減量がきつい”って言うかもしれないけど、俺にはそうは思えない。ただ、俺が思うに、ビラム=スミスに負けたことが響いていて、これが最後のひと押しなんじゃないかな。でかい試合、でかい金の入る試合を狙ってるんだと思うよ」