モーゼス・イタウマがマイク・タイソンが1986年にトレバー・バービックを打ち破って以来の最年少ヘビー級王者になるという目標を達成するには、時間が足りなかったかもしれない。しかし、まだキャリア11戦目ながら、20歳の彼は、長年ボクシング界を支配してきた名選手たちが去った後、ヘビー級という華やかな階級を新時代へ導く存在として広く認められている。
2度のヘビー級王者であるタイソン・フューリーはすでに引退し、現WBA・IBF・WBO統一王者でリング誌チャンピオンでもあるオレクサンドル・ウシク、2度の王者アンソニー・ジョシュア、長期にわたりWBC王座を保持してきたデオンテイ・ワイルダーらも、そう遠くない将来にリングを離れることになるだろう。
イタウマは、2025年の初戦として、5月26日にスコットランド・グラスゴーでサウスポーのアメリカ人マイク・バロガン(21勝1敗16KO)と対戦する。
外見からは、イタウマが自身に寄せられている大きな期待にまったく動じていないように見える。
「正直に言えば、僕は気にしないし、実際あまり関心もない。でも同時に、好きではない。たとえば相手がいて、みんなが僕がノックアウトすると期待していて、もしノックアウトできなかったら──そういうのは嫌なんだ」と、talkBoxingのインタビューで語った。
「プレッシャーは感じる。でも正直言って気にしていない。なぜなら、それは僕にとって何の助けにもならないからだ。人々の期待はリングの中で僕を助けてくれるわけじゃない。だから、ある意味エンターテインメントのようなものだと思っているし、僕はやるべきことをやるだけだよ。」
イタウマは控えめな姿勢を好むかもしれないが、一流のファイター──特にエリートヘビー級──には自信、つまりエゴが必要だ。
イタウマはアマチュア時代からプロに至るまで、一度も敗北を喫していない。試合での印象的なパフォーマンスに加え、彼がまだ学生だった頃からスパーリングでの武勇伝が語られてきた。
彼は成功しか知らず、その成功が自信を育ててきた。
サウスポーのイタウマは、能力的にはすでに世界最高峰のレベルに手が届くところにいると感じているが、実際に彼らとリングに上がる前には、万全の準備が必要であることを理解しているだけの賢さも持ち合わせている。
「自分のスキルセット──リングIQやリングで見せるもの──について言えば、自分が世界で一番だと感じている。でも、後半のラウンドを戦えるということはまだ見せていない。それだけが、自分としてはクリアしたいポイントなんだ」と彼は語った。
「だから次の対戦相手、あるいは今年の対戦相手に関しては、とにかく後半ラウンドまで進むような試合を探している。ウシクと戦うと仮定したら、自分の方がスキルセットは優れていると思っているけれど、後半に入ったら彼の方が上回ると思う。自分にはそういう展開の試合経験がないから。今年はとにかく、ラウンド数をこなすことがテーマなんだ。」