ラスベガス──1年で2度目、スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥は序盤のダウンでキャンバスの味を見た。そして前回と同じく、「モンスター」は戦士の魂を見せ、そこから立ち直って相手を圧倒した。
大方の予想を覆した挑戦者ラモン・カルデナスは、日曜のT-モバイル・アリーナでの第2ラウンド、見事なカウンターの左フックで井上をダウンさせ、会場を驚かせた。これは昨年5月、東京でルイス・ネリが第1ラウンドに井上を倒したのと同じパンチだった。
だが、井上(30勝0敗、27KO)は驚異的な回復力を発揮し、逆襲に転じ、第7ラウンドにダウンを奪い返し、第8ラウンドにカルデナス(26勝2敗、14KO)を立ったままTKOで仕留めた。
「カルデナスと戦えたことは本当に誇りに思う。彼は想像以上に強く、タフだった。自分にとって素晴らしい経験になった」と井上は試合後の記者会見で語った。
カルデナスは健闘を見せたものの、ジャッジの採点では第2ラウンドを除き全ラウンドを井上が獲得、試合は年間最高試合候補ともいえる内容となった。パンチのヒット数は井上が176発、カルデナスが80発。パウンド・フォー・パウンドスターの井上は、試合中に行った修正が勝因だったと語った。
「冷静さを保ち、残りのラウンドをポイントで取ることを意識した」と井上。「ジャブを使い、自分のボクシングスタイルで戦った。同時に、ノックアウトも狙っていた。」
32歳にして、4階級制覇王者は依然として強さを誇っている。カルデナス戦の勝利は世界戦25連続出場で11試合連続ストップ勝利となった。
井上の次戦は、9月14日、東京でムロジョン・アフマダリエフとの一戦が予定されている。
ただし、5階級制覇を目指し12月に予定されているWBAフェザー級王者ニック・ボールとの試合は一時停止の可能性もある。
「122ポンドのリミットを作れる限り、この階級に留まるつもりだ」と井上は語った。
一方、より現実味を帯びているのは、日本人同士の強打者対決、WBCバンタム級王者でリング誌P4Pランキング8位の中谷潤人からの挑戦を受けることだ。
「多分5月だね」と井上。
Manouk Akopyanは『ザ・リング・マガジン』の主任ライターである。X(旧Twitter)およびInstagramでは@ManoukAkopyanで連絡可能。