左を見ろ。次に右を見ろ。女性と子どもを除けば、
ヴァージル・オルティス・ジュニアは誰とでも、どんな相手とも戦う覚悟がある。
だが、世界屈指の才能と実力を持ちながらも、オルティスはいまだに正式な世界タイトルを手にしていない。147ポンド級では、その階級に長くとどまらなかったため、タイトル戦に挑む機会がなかった。そして現在、154ポンド級では非常に快適に戦えていると感じているが、彼のトロフィーケースはいまだ空のままだ。
もちろん、状況は今後数ヶ月で一変する可能性がある。オルティス(23勝0敗、21KO)は、4大認定団体すべてで高くランクされており、世界タイトル挑戦の機会はそう遠くないと見られている。彼の頭の中には、きらびやかな王座ベルトのことしかない。
だが、その一方で、プエルトリコのコンテンダーであるザンダー・ザヤスがオルティスを何度も名指しで挑発してきた。多くの場合、強打のスターであるオルティスはその呼びかけを無視してきた。それは
ザヤスの実力を否定しているのではなく、あくまで優先順位の問題だ。オルティスが求めているのは「世界タイトル」であり、それ以外ではない。
だからこそ、もしザヤス(21勝0敗、13KO)がオルティスの注意を引きたいなら、何をすべきかは本人もわかっているはずだ。
「もし彼がタイトルを持っているなら、もちろん俺のレーダーに入ってくるよ」とオルティスは『The Ring』誌に語った。
ザヤスは、概ねそのメッセージを理解していた。オルティス戦を望む姿勢を崩さなかったものの、次第に焦点を元統一王者で現WBC王者のセバスチャン・フンドラへと移していった。
最終的に、
ザヤスはフンドラとの対戦実現に迫っていたが、フンドラがティム・チューとの再戦に向けてWBO王座を剥奪されたことで、その話は流れてしまった。ザヤスにとっては望んでいた展開ではなかったが、WBOはその代わりとして、22歳の彼に空位となった同王座をかけた試合を許可することで納得させた。
まだ正式発表はされていないものの、ザヤスがチャールズ・コンウェルを破ったばかりのホルヘ・ガルシア・ペレスと対戦する方向で話が進んでいると報じられている。
これにより、目立たず存在感も薄かったザヤスは、一気にヴァージル・オルティスの注目の的となった。
「それ(タイトル獲得)だけが道じゃないけど、彼は明らかに世界タイトルを懸けて戦うことになってる。だからもし獲ったら、リストの上位に一気に躍り出ることになる」とオルティスは語った。