デビッド・ベナビデスに敗れ、プロ初黒星を喫したあと、デビッド・モレル・ジュニアが最も望まなかったのは、その失望に浸ることだった。
落ち込むことなく、モレルはその5か月後、
「ザ・リング・マガジン」のPPV興行で再び危険な試合を受け入れた。自信に満ちたキューバ出身のサウスポーは、イマム・ハタエフが自分を見る目が、かつて自分がデビッド・ベナビデスに向けていた視線と同じであることを理解している。
7月12日、ニューヨーク・クイーンズのルイ・アームストロング・スタジアムで行われる10回戦のライトヘビー級戦が迫る中、その視線が交錯する。
モレル(11勝1敗、9KO)は、
ハタエフ(10勝0敗、9KO)よりもプロ経験でわずか2試合多いに過ぎず、一方の
ベナビデスはモレルの約3倍のプロキャリアを持っている。それでも、無敗のベナビデスに続いてモレルを倒すことができれば、ハタエフは2021年東京五輪で銅メダルを獲得してからわずか11戦目で、有望株から本物の世界ランカーへと飛躍を遂げることになる。
一方、27歳のモレルは、ベナビデス戦での健闘をともなった敗北が、すぐに立て直し可能な一時的な後退にすぎないことを証明したいと考えている。
前戦:2月1日、ラスベガスのT-モバイル・アリーナで行われたWBCライトヘビー級暫定王座防衛戦で、ベナビデスに12ラウンドの判定(3-0)で敗北。
オッズ:ドラフトキングスによれば、モレルはハタエフに対して -500 の本命、ハタエフは +350 のアンダードッグとなっている。
モレルの勝利の鍵は:強打でボディを狙うことを好むパンチャー相手に、打ち合いの誘惑に乗らないことだ。モレルが自らの身長とリーチの優位性を活かし、ハタエフにインサイドで仕事をさせなければ、距離を支配しながらアウトボクシングで主導権を握れるはずだ。ハタエフは技術的には優れているが、モレルほどの運動能力や多様性、スピードはない。前戦でモレルは危険を承知でベナビデス(30勝0敗、24KO)との打ち合いに応じ、第4ラウンドには右の強打でグラつかされる場面もあった。
勝利の意味とは:モレルが初黒星から学び、その経験を、多くの挑戦者なら回避するようなリスクの高い試合において実践できたという証明になる。モレルには175ポンド級の王者となるためのフィジカル面の資質はすでに備わっている。あとは、一部の専門家が多少誇張気味とはいえ、チェチェン出身のノックアウト・アーティスト、元ライトヘビー級4団体統一王者アルツール・ベテルビエフになぞらえる強打の相手を相手に、精神的な強さを証明できるかどうかが問われる。
関係者の声:「(ベナビデスとの試合は)素晴らしい経験だったよ。でも、そこから得た最大の教訓は、キャンプ初日からロニー・シールズと一緒に作り上げてきたゲームプランを守り、それを試合当日にしっかり遂行することだった。7月12日は、それを確実に実行するつもりだよ」――デビッド・モレル・ジュニア
放送・配信:DAZNペイ・パー・ビュー(PPV)
アメリカでは59.99ドル(東部時間午後6時)、イギリスでは24.99ポンド(英国夏時間午後11時)
Keith Idec は「ザ・リング・マガジン」の上級記者兼コラムニスト。X(旧Twitter)の
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