ニューヨーク発 — もしオスカー・デ・ラ・ホーヤに
ウィリアム・セペダの対戦相手を選ぶ自由があったとすれば、
シャクール・スティーブンソン以外の誰かを選んでいただろうと、エディ・ハーンは推測している。
しかし、ウィリアム・セペダ自身はこの困難な試合を強く望んでいた。なぜなら、このメキシコ人サウスポーは、現ボクシング界で最も技巧に優れたファイターの一人とされるシャクール・スティーブンソンを相手に、自らの実力を証明したかったからだ。WBC暫定ライト級王者であり、スティーブンソンの指名挑戦者である28歳のセペダは、これ以上レベルの低い挑戦で時間を浪費したくなかった。
スティーブンソンをプロモートするエディ・ハーンもまた、トゥルキ・アラルシク殿下が、セペダとゴールデンボーイ・プロモーションズに対し、無敗記録をスティーブンソン相手に賭けるだけの十分な報酬を用意したことを認めている。この一戦は、
7月12日にニューヨーク・クイーンズのルイ・アームストロング・スタジアムで行われる『The Ring』のペイパービュー興行の一部として開催される。
「
テビン・ファーマーと比べると、シャクールは“超強化版ファーマー”って感じだよね」と、エディ・ハーンは
『ザ・リング・マガジン』に語った。これは、サウスポーのセペダが過去2戦連続で判定勝ちした相手・テビン・ファーマーを引き合いに出しての発言だ。「技術、動き……ちょっと変則的ってわけでもないけど、そういうところが似てる。わかるだろ? でも、こういうスタイルはセペダにとって常にやりにくい相手なんだと思うよ。」
「オスカー(デ・ラ・ホーヤ)はボクシングを知り尽くしてる人間だし、本音ではシャクール・スティーブンソンとの試合を望んではいなかったと思う。実際、そういう人は多い。でも今回は『ザ・リング・マガジン』のイベントのおかげで、十分な金額が提示されたんだ。だから、勝負に出たんだろう。非常に厳しくて危険な試合だけど、シャクールにとっては非常に相性の良い試合になるとも思ってるよ。」
27歳のスティーブンソンにとっても、見ごたえのあるパフォーマンスが必要とされている。一方、セペダ(33勝0敗、27KO)にとっては、3階級制覇王者という格上の相手を倒すことが自身の価値を証明する鍵となる。
スティーブンソン(23勝0敗、11KO)は、ファンや専門家からしばしば「退屈」だと批判されてきたが、最近パラディウム・タイムズスクエアで行われた記者会見の前後を通じて「セペダには楽勝する」と自信満々に言い切っている。
ハーンと同様に、スティーブンソンもウィリアム・セペダを「危険な相手」と認めつつも、自分のスタイルにとってはやりやすい相手であり、この大舞台で自分のやりたいことを実現するのに適した相手だと考えている。
この二人の共通認識こそが、ハーンが「もしオスカー・デ・ラ・ホーヤやゴールデンボーイ・プロモーションズ社長のエリック・ゴメスに選択肢があったなら、もっと楽な相手をDAZNのメインイベントでマッチメイクしていたはずだ」と考える理由だ。
「本来なら、放送局のために“メインイベントを張れる選手”を守るのが最優先事項なんだ」とハーンは語る。「セペダはまさにそのメインを張れる選手の一人だから、彼が敗れるようなリスクは極力避けたいのが普通なんだよ。しかも今回は、相手が大本命のシャクールだ。だから『ザ・リング・マガジン』と、殿下(トゥルキ・アラルシク)の存在がなければ、この試合は成立しなかったかもしれない。なぜなら、オスカーたちにそのリスクを冒させるだけの報酬が用意されなかったはずだからさ。」
「たとえば、別の団体で指名挑戦者の位置を狙うこともできるし、カリフォルニアやメキシコで引き続きメインを張ることだってできる。つまり、彼らにとって選択肢がないわけじゃない。だからこそ、もしかするとシャクールの試合間隔が空いていることや、手術明けという点に目をつけて“もしかしたら勝機があるかもしれない”と自分たちに言い聞かせて、勝負に出たのかもしれない」とハーンは語った。
スティーブンソンは、『ザ・リング・マガジン』が認定するライト級ランキングで第3位。ブックメーカーのDraftKingsによれば、
セペダに対して11対1の本命に位置付けられている。一方のセペダは、同ランキングで135ポンド級の第4位にランクされている。
Keith Idec は『ザ・リング・マガジン』の上級ライター兼コラムニスト。X @idecboxing(旧Twitter)で連絡可能