昨年12月、ハーレム・ユーバンクがフランスのヌラリ・エルドアンと戦った8ラウンドを、「精彩を欠いた」と評価する以外の表現をするには、かなりの脚色が必要だろう。
しかし、そもそも美化する必要はない。
ユーバンク(20勝0敗、8KO)は、12カ月のフラストレーション溜まるブランクから復帰し、新階級での感触を確かめ、判定による大差の勝利を収めた。
もしこの試合がアンダーカードであれば、注目されることはなく、試合内容を綿密に分析するのはユーバンクとトレーナーのアダム・ブースだけだっただろう。
しかし、31歳のウェルター級ファイターであるユーバンクはチャンネル5のメインイベントを務めたため、錆落としの一戦に対しても世界タイトルマッチ並みの批評が浴びせられることになった。
この批判は、やや過剰にも感じられた。
「まあ、そういうものだよ。ファイターとして成長し、知名度が上がると、人々は何かしら批評したくなるんだ。良いことでも悪いことでもね」とユーバンクはザ・リングに語る。
「最終的には、すべてポジティブな注目に繋がる。彼らはまた俺の試合を見に来るし、これからさらに衝撃的な試合やエキサイティングなパフォーマンスをするたびに、より多くの人が注目するようになる。すべては巡り巡るものさ。」
ユーバンクは批判の理由を理解しながらも、それに囚われることはない。この試合は、まさに彼の過去12カ月を象徴するものだった。
2024年を迎えた時点で、彼はキャリア最高の勝利となるティモ・シュワルツコフ戦の勢いに乗っていた。
しかし、そこからアダム・アジムとの試合が正式決定するのを待つ間に、数カ月が無駄に過ぎてしまった。
その結果、エルドアンとリングで向き合ったときには、シュワルツコフ戦から1年以上が経過していた。
「まさに、フラストレーションが溜まる1年の締めくくりみたいなものだったよ」とユーバンク。
「でも、ファイターとして過去のことを引きずるべきではない。どんな相手であれ、どんな形であれ、試合に勝つことが重要なんだ。そして、次のステージに進み、インパクトのあるパフォーマンスを見せることが求められる。」
「今回のような相手と戦う場合、派手な試合をすることは難しい。
1ラウンドで倒せば『当然』と言われ、判定までもつれれば『物足りない』と言われる。
だから、そういうことは気にせず、次へ進むだけさ。」
しかし、4月5日(金)にブライトンで行われるタイロン・マッケンナ(24勝5敗1分、7KO)との一戦は、これまでとはまったく異なるものになる。
チャンネル5がワッサーマン・プロモーションのイベントを放送する。
近年では、大口を叩くボクサーが多く、試合ではその言葉通りのパフォーマンスを見せられないケースも少なくない。
しかし、35歳のマッケンナは違う。彼は試合前に語った通り、常にアグレッシブなファイトを展開するボクサーだ。
試合直前、マッケンナはザ・リングに対し、「自分の攻撃的なスタイルには細かな駆け引きがあるが、それが見落とされがちだ」と語っている。
とはいえ、彼自身、自分の勝ち筋が明確であることを理解している。試合開始のゴングと同時に前進し、アグレッシブな試合を展開し、ユーバンクにプレッシャーをかける。
それが彼の仕事であり、期待されている役割でもある。
ユーバンクも、16カ月に及ぶフラストレーションを乗り越え、ようやく真っ向勝負ができる相手と拳を交えることを楽しみにしている。
「エルドアンは試合を台無しにしようとするタイプだった。彼は勝つためにリングに上がったわけじゃない。
タイロンは違う。彼は勝つために戦いに来る」とユーバンク。
「だからこそファンに愛され、危険なファイターでもある。彼は前戦で相手を数ラウンドで倒しているし、今がまさに全盛期だ。」
「ボクシング界には、ハイプ(誇張)だけの選手が多い。だが、タイロンは違う。彼は自分が言ったことを実行する。
彼はリングで本気で戦い、常に勝利を狙うファイターだ。」
「俺はこういうタイプの相手を何度も倒してきた。今回も例外ではない。ただ、タイロンはハイレベルな舞台でこの戦い方を繰り返してきた。」
「だからこそ、俺はリングで圧倒的なパフォーマンスを見せるつもりだ。」
ユーバンクは過去2年間、着実にキャリアを積み上げてきた。
トム・ファレルやティモ・シュワルツコフといった技巧派の実力者たちを相手に勝利を重ねたが、
今回のマッケンナほど、暴力的なプレッシャーをかける相手とはまだ対戦していない。
ユーバンクも、それを理解している。試合が続く限り、リング上では本物の戦いが繰り広げられることになる。
そして、それこそが彼が待ち望んでいたものだった。
「こういうチャレンジが必要なんだ。こういう相手がいるからこそ、自分のベストを引き出せる」とユーバンク。
「ボクシングにおいて、この手の対戦は避けて通れない。そして俺は、それが楽しみで仕方がない。」
「ジムでの準備は完璧だ。リングで何をするのか、自分がどれだけ成長したのかを見せるのが楽しみだ。」