プロボクシング界におけるリヤド・シーズンの影響を、誰がここまで予想できただろうか。
2023年10月、タイソン・フューリーとMMAスーパースターフランシス・ガヌーが異種格闘技対決を発表したとき、これがボクシング界全体を揺るがす出来事になるとは、ほとんどの人が思っていなかったはずだ。
それ以来、リヤド・シーズンはボクシング界に新たな命を吹き込み、数多くの選手に夢のようなチャンスを提供してきた。
その機会を、誰よりも圧倒的かつ華々しく掴んだのが、ハムザ・シェラーズ(21勝0敗、17KO)である。
キャリア最高の勝利を経て、WBC世界タイトル戦へ昨年6月、シェラーズは「5対5」対抗戦でチーム・クイーンズベリーのキャプテンに指名され、
無敗のアメリカ人オースティン・"アモ"・ウィリアムズを11回TKOで破るというキャリア最高の勝利を収めた。
さらに3か月後、ダニエル・デュボア vs. アンソニー・ジョシュアの
IBF世界ヘビー級タイトルマッチのアンダーカードに抜擢され、ヨーロッパ王者タイラー・デニーをわずか2ラウンドで粉砕。
そして、この2つの圧倒的な勝利が、彼を再びリヤドの舞台へと導いた。
今週土曜日、シェラーズはカルロス・アダメス(24勝1敗、18KO)と対戦し、WBC世界ミドル級王座に挑む。
この一戦は、アルツール・ベテルビエフ vs. ドミトリー・ビボルによるライトヘビー級統一戦がメインとなる超豪華イベントの一部として行われる。
試合はDAZNが世界中に生中継する予定だ。
『6181ボクシング・ポッドキャスト』のインタビューで、シェラーズはこの大舞台で自らの価値を証明する機会に胸を躍らせていると語った。
「俺はずっと言ってきた。チャンスと舞台さえ与えられれば、必ず結果を出すと。
それを実行することが、俺の使命なんだ。」
「今回、俺の目の前には過去最大の課題がある。
カルロス・アダメスは素晴らしいファイターであり、偉大なチャンピオンだ。
だが、俺はこれ以上の展開は望まない。」
「俺が勝てば、誰にもケチをつけさせない。
“ベルトを与えられた”とか、“空位のベルトを獲った”とか言われることはない。
アダメスは防衛戦を重ねてきた真の王者だ。」
「神のご加護があれば、俺は彼を倒し、堂々とWBC世界ミドル級王者になる。」
ここ1年のシェラーズの活躍は圧巻だった。
彼は、アモ・ウィリアムズ戦の前後に、元WBOスーパーウェルター級王者リアム・ウィリアムズを1回TKO、さらにヨーロッパ王者デニーを2回TKOするなど、圧倒的な試合を見せてきた。
しかし、彼のキャリアには、苦境からの勝利も刻まれている。
2021年12月、シェラーズは元英国ウェルター級王者ブラッドリー・スキートとの試合で
序盤に苦しみながらも、最終的に9回TKO勝利を収めた。
また、アモ・ウィリアムズ戦では序盤に危ない場面もあった。
しかし、それを乗り越えたからこそ、最後は決定的な勝利を掴んだのだ。
「ボクシングの世界では、予定通りに進まないことが当たり前だ。
だからこそ、常に新たな武器を準備しておく必要がある。」
シェラーズは、アダメス戦に向けて、今まで見せてこなかった戦術を披露すると語る。
「俺たちは、これまでにないものを見せることになる。」
「この試合では、新しい引き出しを開けなければならないと分かっている。
俺のスキルの中でも、これまで披露していないものがある。
それを試す場面が来るだろう。」
「ただ、試合前に『こう戦う』と決めつけるつもりはない。
俺は常に試合の流れに適応するファイターだからな。」
「試合がどんな展開になるかは、やってみなければ分からない。
でも、俺はこの挑戦を楽しみにしている。」
シェラーズにとって、これはキャリア最大の試合であり、勝てば「真の王者」としての地位を確立することができる。
「試合に臨むにあたって、『これを正確にやる』という明確なプランは特に持っていない。そういうスタイルではないからね。大まかな戦略はあるけど、試合の流れ次第でどう転ぶかは分からない。
戦いに挑むのか、ボクシングで組み立てるのか、それともその両方を織り交ぜるのか――。
何が起こるか見てみよう。楽しみにしているよ。」