ハムザ・シェラーズにとって、イギリス国内でのスター性はごく自然なものだ。しかし、アメリカにいるときには、身元を隠すためのサングラスも必要ない。
2017年にプロデビューして以来、シェラーズはキャリアのすべてをイギリスで積み上げてきた。熱狂的なファン層を持ちながらも、彼が目指しているのは世界的な認知だ。
それを実現するには、シェラーズ自身がアメリカに拠点を築き、自らの存在を刻み込む必要がある。スターとしての地位、名声、称賛を渇望する彼は、いまそのために旅路を歩み始めている。
7月12日、ニューヨーク・クイーンズのルイ・アームストロング・スタジアムで行われる『The Ring III』で、
シェラーズ(21勝0敗1分、17KO)はスーパーミドル級デビュー戦として、ランキング上位の実力者エドガー・ベルランガと対戦し、メインイベントを務める。
誰に聞くかによって評価は分かれるが、この対戦はほぼ五分五分と見られている。ただし、シェラーズにはいくつか不利な要素がある。まず第一に、彼の最近の調子は不安視されている。
直近の試合ではカルロス・アダメス相手に苦戦し、最終的にはスプリット・ドローに終わった。また、ベルランガは自然体の168ポンド級(スーパーミドル級)で戦っており、体格面でも上回っているとされている。
それでも多少不利な状況にあるとはいえ、シェラーズはベルランガに勝利した先に何が待っているかを十分に理解している。
いくつかは明白だ。シェラーズは以前から、いつか
カネロ・アルバレスとリングを共有したいという思いを公言してきた。7月12日の勝利は、その夢の実現に大きく近づく一歩となるだろう。さらに、アルバレスとの将来的な対戦の可能性とは別に、シェラーズ自身の知名度や評価も一気に跳ね上がる可能性がある。
華やかさや脚光に浮かれている場合ではない。シェラーズは、ただ
ベルランガに勝つだけではなく、その内容でも圧倒的な印象を残さなければならないことを自覚している。
「アメリカでは、俺のことを知ってる人はあまりいない」とシェラーズは最近のCornerman Boxingとの一対一のインタビューで語った。「でも、圧倒的なパフォーマンスを見せられれば、トップに一気に駆け上がるチャンスになる。」