WBAライト級世界王者のジャーボンテ “タンク” デービス（30勝0敗1分、28KO）は、WBAスーパーフェザー級世界王者のラモント “ザ・リーパー” ローチ（25勝1敗2分、10KO）との12ラウンドの激闘をマジョリティドロー（多数決引き分け）で終え、王座防衛に成功した。試合は土曜夜、ニューヨーク・ブルックリンのバークレイズ・センターで開催されたPBCのPrime Videoペイパービュー興行のメインイベントだった。

長年の友人である両者の戦いは、激しい舌戦が飛び交う一戦となった。**サウスポーのデービス（30歳）**は、6ラウンド終了時点でジャッジのスコアカードでリードを奪ったが、**ローチ（29歳）**が後半に怒涛の追い上げを見せ、試合は緊迫した展開となった。

デービスは、これまでの試合で見せてきたような試合を決定づける強打を放つことができず、アマチュア時代からのライバルであるローチの攻撃をこれまで以上に浴びる展開となった。特に、ローチのカウンターの右が効果的に決まり、試合を通じて何度も成功を収めた。

この接戦では、12ラウンドのうち9ラウンドで、両者の有効打の差が3発以内だった。また、ローチはデービスよりも121発多くパンチを繰り出し、デービスはパワーパンチで6発多くヒットさせた一方で、ローチはジャブを15発多くヒットさせた。

試合中、議論を呼んだ場面が第9ラウンドにあった。デービスはジャブを被弾した後、自ら膝をつき、コーナーに戻って目のグリースを拭ってもらった。この膝付きがダウンと判断されていた場合、2人のジャッジのスコアがローチに傾き、結果が変わっていた可能性もあった。

試合のスタッツでは、ローチがより多くのパンチを放ち、わずかにデービスを上回った。特に最終ラウンドでは、ローチが16-9と有効打で圧倒し、試合を締めくくった。判定は1人のジャッジが115-113でデービス、残る2人のジャッジは114-114の同点とした。

試合後、両者は再戦を望む意向を示した。

デービスは試合後のインタビューで、「2日前に髪をセットした時にグリースをつけられて、それが汗と混じって目に入ってしまった」と説明。また、試合について「最後の3ラウンドで確実に巻き返したと思う。クリーンなショットも決めたし、ラウンドが進むにつれて相手を削っていった感触もあった。ただ、ローチは最後まで攻め続けたから、ミスをしないように慎重に戦ったんだ」と振り返った。

接戦となった理由について問われると、デービスは「俺が接戦にしてしまったんだ。もちろん、ローチは素晴らしいファイターだ。試合前にも言ったけど、彼にはスキルもパンチ力もある。いい経験になったよ。ローチと彼のチームに敬意を表するし、できればニューヨークでもう一度やり直したい。それが無理なら、ローチと彼のチームの健闘を祈る」と語った。

"試合後、ローチが最終ラウンドを2人のジャッジのカードで獲得していれば、マジョリティドローではなく勝利を収めていたことが明らかになった。"