イングランド・ソリハル —
ガラル・ヤファイの、日本で統一フライ級世界王座に挑戦するという夢は、バーミンガムでの過酷な12ラウンドを経て、歴戦のベテラン、フ
ランシスコ・ロドリゲス・ジュニアに一方的に打ちのめされ、完全に打ち砕かれた。
この試合は、BPパルス・ライブ・アリーナで開催されたマッチルーム興行のメインイベントとして行われ、DAZNで生配信された。
試合前には、ザ・リング・マガジンの
パウンド・フォー・パウンドランキングで9位に位置するWBC・WBA世界フライ級王者、寺地拳四朗への挑戦が年内にも日本で実現するのではないかと期待されていた。
しかし試合終了時には、元ミニマム級世界王者であり、スーパーフライ級で
中谷潤人や井岡一翔とも判定まで戦ったロドリゲス・ジュニアによって、その期待は完全に打ち消された。
判定は3者ともロドリゲス・ジュニアを支持し、119-108、119-108、118-109という大差での勝利となった。
試合開始直後から、ヤファイは押し寄せる圧力に完全に呑まれてしまった。序盤1分で、両者がリング中央の主導権を争う中、ロドリゲス・ジュニアのショートの左フックを浴びてグラつくと、残りのラウンドは命がけでしがみつくような展開となった。
メキシコのベテランは序盤から存在感を示し、これまでプロキャリアで順風満帆に歩んできたヤファイに対し、世界戦線の厳しさを容赦なく叩き込んだ。しかも地元ファンの前でだった。
第2ラウンドでは、ロドリゲス・ジュニアの強烈な右を受けて再び足元を揺らされ、さらに頭同士の接触で左目の上をカットした。第3ラウンドでも激しい攻防は続き、ロドリゲス・ジュニアはあらゆる角度からパンチを放ち、ヘッドムーブでヤファイのジャブによる距離支配を封じ込めようとした。
「落ち着け、ガラル!」とトレーナーのロブ・マクラッケンが声を張り上げる。第4ラウンドには、オリンピック金メダリストのヤファイがようやく左の有効打をヒットさせ、ロドリゲス・ジュニアの頭を弾き飛ばしたが、48戦を戦い抜いた戦士にはまるで効かなかった。
第5ラウンドに入ると、ロドリゲス・ジュニアは再び攻勢を強め、強打の左フックをヒットさせた後、右でも同様に打ち込んだ。ヤファイはこの頃には相手のパンチにある程度慣れた様子だったが、ラウンドは依然として落としていた。
第6ラウンドにはロドリゲス・ジュニアの左目の上にカットが生じ、両者はそこから持てる限りの闘志を剥き出しにして打ち合った。ロドリゲス・ジュニアは引き続き激しいパンチを繰り出し続けたが、ヤファイも屈することなく応戦し、左右の連打を返した。ただし、それがロドリゲス・ジュニアに効いていたかは疑問だった。
第7ラウンドでは、初回と同様にロドリゲス・ジュニアがプレッシャーを強めた。ヤファイは頭部側面に強烈な左を受け、足がグラついてダウン。しかし、レフェリーのマーク・ベイツは誤ってスリップと判定した。立ち上がったヤファイに対して、ロドリゲス・ジュニアはさらに猛攻を加え、重いパンチを連続で叩き込んだが、ヤファイは再び倒れることなくラウンド終了のゴングを聞いた。
第8ラウンドもヤファイにとっては過酷な展開となった。すでに逆転にはノックアウトが必要な状況に見えた。ただし、この頃には脚が戻ってきており、相手の猛攻をある程度かわす動きも見せた。
第9ラウンド開始前、ドクターがヤファイのカットを確認し、試合続行を許可した。ロドリゲス・ジュニアのカットに対する診察には時間がかかり、陣営には一瞬緊張が走ったが、こちらも問題なしとされた。
その3分後、ヤファイは無防備な顎にストレートの右を何発も浴び、再び足元がおぼつかない状態に。それでもゴングまでは耐え抜いたが、第10ラウンドに向けて同様の猛攻にさらされることとなった。
ヤファイは完全に力尽き、パウンド・フォー・パウンドのスターとの日本での世界タイトル戦の夢は儚く消え去ったが、それでも最後まで立ち続けた。勝利の可能性が判定上では消えた中で、試合終了まで耐え抜くことがせめてもの道義的な勝利となった。
第11ラウンドもヤファイにとっては苦痛に満ちた時間だったが、真の痛みが襲ったのは最終12ラウンドだった。ロドリゲス・ジュニアの左右連打がヤファイの顎にクリーンヒットし、ついにダウンを喫した。
それでもヤファイは立ち上がった。しかし、すでに試合の主導権は完全に失われており、その後の攻撃ではロープ外に転げ落ちそうになる場面もあった。必死に最終ゴングを聞いたものの、彼が切望していた勝利はそこにはなかった。
血に染まったコーナーで、落胆する兄ガマルが背後に立つ中、ヤファイは顔を歪めながら、119-108、119-108、118-109という判定結果を聞くしかなかった。
ロドリゲス・ジュニアにとっては、再び世界王座への挑戦のチャンスが目前に迫っている。一方のヤファイにとっては、キャリアの短さを自覚し、「このレベルで負けることへの不安」を
ザ・リング・マガジンに語っていた通り、自身の今後に関する疑問がつきまとうこととなる。