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フランク・ウォーレンとエディ・ハーンの「新時代」:「俺たちはボクシング中毒者、離れたくても離れられないんだ」
インタビュー
Declan Taylor
Declan Taylor
RingMagazine.com
フランク・ウォーレンとエディ・ハーンの「新時代」:「俺たちはボクシング中毒者、離れたくても離れられないんだ」
2023年11月15日まで、エディ・ハーンとフランク・ウォーレンという英国ボクシング界最大のライバル同士は、顔を合わせたことすらなく、ましてや共に仕事をしたことなど一度もなかった事実は忘れがちだ。


しかし、それから16か月が経った今、両者はついに同じプラットフォーム上で本格的に協力し合うこととなった。これは、英国ボクシング界にとって大きな転換点と見るべき歴史的瞬間だ。


4月1日、フランク・ウォーレンが新たに締結した数百万ポンド規模・複数年にわたるDAZNとの契約が始動し、彼とクイーンズベリーによる長年にわたるTNTスポーツとの成功したパートナーシップは正式に幕を下ろすこととなる。一方で、エディ・ハーン率いるマッチルームは、2018年からすでに何らかの形でDAZN上でボクシングを展開してきた実績がある。


この新たな体制をアピールする一環として、「ザ・リング・マガジン」はDAZNのロンドンオフィスに招かれ、ウォーレンとハーンの2人に話を聞く機会を得た。今やこの2人は、かつてYouTubeのインタビュー越しに毎週のように口論を繰り広げていた宿敵というより、まるで父と息子のような関係にすら見える。


かつてはまさに、この2人のライバル関係こそが英国ボクシング界を動かしていたとも言える。互いに相手を上回ることが、2人にとっての絶対的な使命だった。マッチルーム対クイーンズベリーという構図の中で、勝者はファンだった。では、今や両陣営が“同じ船”に乗ることになった今、目指すべきゴールとは何なのか。


「競争は今でもあるよ……俺たちが何をすると思ってるんだ?」と彼は語り、隣に座るハーンを指さしながら続けた。「彼もベストを目指してるし、オスカー・デ・ラ・ホーヤだってそうだし、もちろん俺もだ。」


「もちろん、みんなそうさ。俺たちは“勝者”なんだ。それが俺たちのやることだし、情熱の源でもある。朝起きる理由がそこにある。俺たちは努力し続けてる。まるでファイターと同じで、自分たちの分野で一番になりたいと思ってるんだ。」


「時には俺たちが一番になることもあれば、波に乗れずに遅れを取ることもある。ボクシングは周期的に動くからな。でも今は、俺たちは調子がいいと思ってるよ。そしてこの競争の中で一番いいのは、今は健全な形で競い合えているってことなんだ。これまで通りのことを続けていきたいと思ってるけど、今はちゃんと話し合いもしてるし、意見も交わしてる。チャンネルにとって何がベストか、そしてそれぞれの会社にとって何が最善かを一緒に考えてるんだ。」


「それがサブスクリプション数の伸びにつながる。もしそれができなければ、俺たちは失敗したってことになるんだ。」


「クイーンズベリーとしては正直なところ、うちには今、成功を収めている選手が多く揃っていて、TNTとはやれるところまでやりきったという感覚があったんだ。TNTとは決して悪い形で別れたわけじゃない。でも、今回の決断は考えるまでもないことだった。本当に明白な選択だったよ。世界は変わったし、どんどん小さくなっている。今はグローバルな視聴者に向けた時代なんだ。」


次はハーンだ。「『フランク・ウォーレンを倒さなきゃ』なんて思ってた時期はないよ」とハーンが語ったが、その言葉を真に受ける者はいない。


「常に自分の仕事への愛があったんだ。ボクシングのビジネスや競技そのものを嫌ってたわけじゃない。ただ、『これは嫌だけど、フランクには勝たなきゃいけない』って考えてたわけでもない。ただ、俺は何をやるにしても勝ちたいと思ってしまうんだ。たとえ父親とダーツや卓球をやっているときでもね。その感覚はビジネスの世界でも変わらない。」


「フランクがクイーンズベリーを立ち上げたことを忘れちゃいけない。それは彼にとってものすごく個人的なもので、その思いは家族全体にも受け継がれているんだ。彼の息子ジョージもそれを理解しているし、俺もマッチルームに対して同じ思いを持っている。俺たちは、父親たちが浮き沈みを経験しながら、この人生を築き上げてきた姿を見てきた。そしてこのビジネスに懸ける思いは、俺たちの中に染みついているんだ。」


リヤド・シーズンがボクシング界に登場して以来、ウォーレンとハーン、そしてクイーンズベリーとマッチルームは定期的に協力するようになった。しかし、両者がまったく同じプラットフォームで活動する日が来ると、果たしてどちらかが想像していただろうか。


「いや、想像してなかったよ」とハーンは答える。「これまでは放送局って、普通はどちらか一方の陣営を選ぶものだった。でも今、DAZNは正しいやり方をしているし、そのビジネスモデルもうまく機能してる。いろんなプロモーターを一つのプラットフォームに集められるなんて、他にないよ。」


「何がすごいって、コンテンツそのものが本当に優れてるんだ。2、3週に1回の興行じゃなくて、週に複数回もショーがあるんだからね。」


そしてボクシングファンにとって嬉しいニュースは、クイーンズベリーとマッチルームが今後スケジュールのバッティングを起こすことがなくなるという点だと、彼らは語っている。


「もうそんなことは起きないよ」とウォーレンは、過去に両陣営が同じ日に興行を開催していたことについて触れながら語った。「理由は明白だし、そういうのはもう終わりにしなきゃならない。」


ハーンはこう付け加えた。「それは本当に重要なことなんだ。クイーンズベリーが日程を発表して、俺たちが『よし、同じ日にぶつけよう!』なんて言ってたわけじゃない。たいていは放送局側から『この日しかない』って指定されて、こっちは『マジかよ…』ってなる感じだったんだよ。」

「興行が重なれば、視聴者は半分に分散するし、チケットの売上や他の面でも機会を失うことになる。だから今こうして、しっかりスケジュールを組んでバッティングがなくなるのは本当に良いことだよ。」


土曜夜、マンチェスターで行われるクイーンズベリーのDAZN初興行では、ジョー・ジョイスとフィリプ・フルゴビッチがメインイベントで激突する。そして、名誉の殿堂入りを果たしたプロモーター人生の中で最も利益の大きい放送契約に乗り出そうとしている73歳のフランク・ウォーレンに対し、いまも彼を突き動かしている原動力は何なのかと問われた。


「みんなこの世界が大好きなんだよ」と彼は語る。「一度関わったら、もう抜け出せない。まるで感染するようなものさ。俺たちは皆、このスポーツへの愛情と情熱を共有してる。ボクシングとともに育ってきたんだ。いとこたちもボクサーで、俺は15歳の頃から、いやもっと若い時からアマチュア時代の試合を観に行ってたよ。」


「それが俺たちの原点で、情熱なんだ。エディが好きだろうと、俺が好きだろうと関係ない。ひとつだけ誰にも否定できないのは、俺たちがこの競技に人生を捧げてきたという事実と、その情熱だ。」


「うちの奥さんが『ほら、休暇に行こうよ』って言ってきたんだけど、俺は試合のスケジュールを見ながらどうやって断ろうか考えてたんだ。『その日は病院の予約があるんだ』なんて言っておいて、実はその土曜に試合があるってわけさ。」


「ボクシングって、本当にイライラさせられるスポーツでもあるけど、それでも俺は関わり続けてるし、そこに情熱を注ぎ込んでる。なぜなら、ファイターたちを愛してるし、彼らのやってることに感動するからさ。リングの中での彼らの姿を見ていると、やっぱりこのスポーツは唯一無二だって実感する。俺たちはボクシング中毒者なんだよ。それが俺たちの“薬”であり、心を満たしてくれるのは、あのファイターたちなんだ。」

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