M&Sバンク・アリーナ(リバプール) — 土曜日の試合は12試合ものロングカードとなり、ニック・ボールの世界フェザー級王座防衛戦の後に、さらに6回戦のミドル級フロート試合が組まれた。これにより、カバーすべき内容が非常に多い夜となった。
クイーンズベリー・プロモーションのフランク・ウォーレンは、試合後のリング上インタビューでボールを「世界最高のフェザー級ボクサー」と称賛。その後も、この夜の全体的なパフォーマンスを振り返りながら、その評価を続けた。
「ニックは非常に優れたボクシングを見せた」と、殿堂入りプロモーターのウォーレンは『ザ・リング』に語った。「相手は本当にタフなファイターだったし、これはTJにとって最後のチャンスだった。彼は打たれながらも必死に耐えた。ニックは彼を崩し、素晴らしいパフォーマンスを見せた。アウェイコーナーが10ラウンド終了時にストップを決断したのは正しい判断だったと思う」
28歳のボールは、わずか9カ月前に世界王座を獲得したばかりだが、すでに4度の世界戦を経験し、フェザー級統一に向けて大きな野心を抱いている。その先には、かねてから噂されていたスーパーバンタム級絶対王者・井上尚弥(28勝0敗25KO)との対戦というビッグマッチも控えている。
井上は昨年9月、TJ・ドヘニーを7ラウンドTKOで下し、ドヘニーは背中の痙攣により試合続行不能となった。元IBF世界スーパーバンタム級王者として、ドヘニーはボール戦で番狂わせを狙ったが、ボールはまたしても課題をクリアし、勝利を収めた。
また、スティーブン・フルトン(23勝1敗8KO)も、元井上戦の対戦相手として注目を集めている。先月、ブランドン・フィゲロアとの再戦に勝利し、WBC世界フェザー級王者となり2階級制覇を達成した。フルトンは昨年、「ニック・ボールのアグレッシブなスタイルは、自分との対戦に完璧に合う」と語っており、対戦の可能性に前向きな姿勢を見せている。
一方、レイ・バルガス(36勝1敗1分22KO)は、3月にリヤドで行われたボール戦でスプリットドローとなった後、夏に肩の手術を受け、5カ月前に休養王者に指定されている。
また、フェザー級の他の2人の世界王者である、WBO王者ラファエル・エスピノサ(26勝0敗22KO)とIBF王者アンジェロ・レオ(25勝1敗12KO)は、どちらも5月に王座防衛戦を控えている。
ボールの次戦について、しばらく休養を取った後、ウォーレンは「水面下で他の世界王者との統一戦を模索する」と語った。
「彼のために実現させるつもりだが、最終的には対戦相手がその挑戦を受け入れるかどうかにかかっている」とウォーレンは語る。「彼はどんな相手にとっても厄介なファイターだ。リング上でも言ったが、彼は世界最高のフェザー級ボクサーであり、本来ならすでにWBCとWBAの統一王者になっていてもおかしくない。それを人々は忘れがちだ。彼には統一王者になれるだけの実力が十分にあると信じている」
ウォーレンが会場を後にしようとしたその時、ある年配の夫婦が彼に近づき、短い会話を交わした。彼らはなんとニック・ボールの両親だった。「息子のためにしてくれたことに感謝したい」と伝えるために駆け寄ったのだ。
ウォーレンはその言葉をありがたく受け止めながらも、「すべては彼自身の努力の賜物だ」と両親に感謝を伝えた。若くして努力を積み重ね、多くの人々にインスピレーションを与える存在となった息子の姿を誇りに思うべきだと語った。
ボールは今、自己の信念と献身の成果を存分に発揮し、キャリアの最盛期を迎えようとしている。