イプスウィッチ(イングランド)――
ファビオ・ワードリーが長年の夢をついに叶える時が来た。今夜、彼はオーストラリアの
ジャスティス・フ二と対戦し、無敗のヘビー級コンテンダー同士による注目の一戦がイプスウィッチのポートマン・ロード・スタジアムで行われる。
ヒュー二(12勝0敗、7KO)は、アメリカのベテランコンテンダー、ジャレル・ミラーが
トレーニング中の肩の負傷で試合を辞退したことを受け、
1か月前に代役として緊急参戦が決定した。
ワードリー(18勝0敗1分、17KO)は、フランク・ウォーレン率いるクイーンズベリー・プロモーションとの契約下での第2戦となる。昨年10月にリヤドで行われた地元ライバル、フレイザー・クラークとの再戦では初回KO勝利を収め、返上済みの英国王座の防衛に成功した。今夜は、30歳のワードリーにとって世界戦線へ大きく踏み出す一歩となる。
本戦に先立ち、高評価を受けるアイルランドのスーパーライト級コンテンダー、
ピアース・オレアリーがリアム・ディロンとの一戦でヨーロッパ王座への挑戦を果たす。また、オリンピック銅メダリストであるルイス・リチャードソンの注目のプロデビュー戦(160ポンド級)も予定されており、DAZNによる中継は英国時間午後7時に開始される。
以下、各試合の結果速報:
リチャードソン、デビュー戦勝利に歓喜
ルイス・リチャードソンがリングウォークを行う頃には、地元の熱心なファンたちが雨天にもかかわらず歌声を響かせ、ポートマン・ロードはすでに大勢の観衆で埋め尽くされていた。近隣のコルチェスター出身であるリチャードソンは、そんな声援を背にプロとしての第一歩を踏み出した。
オリンピック銅メダリストで、試合週に28歳の誕生日を迎えたリチャードソンは、初回から意図的な連打を見せ、耐久力のあるエストニア人ドミトリ・プロトクナス(8勝21敗1分、1KO)を相手に、ギアを上げきれなかった場面もありつつ、終始距離を保ったボクシングで試合を支配し、時折見せる派手なコンビネーションで観衆を沸かせた。
今後レベルの高い相手と対戦していく中では、より切迫感のあるボクシングが求められるだろう。12年間のアマチュア経験で培われたスタイルから徐々に脱却しなければならないことは、リングサイドから応援する陣営からの声が示す通りである。
ペレス、ワードを圧倒してストップ勝ち
元クルーザー級世界タイトル挑戦者のマイク・ペレスは、スティーブン・ワードとの一戦で激戦を強いられたが、最終的には粘り強さを見せて9ラウンドTKO勝利を収め、WBAインターコンチネンタル王座(200ポンド級)を獲得した。
初回から、ペレスの強打はワード(15勝4敗、5KO)にとって大きな脅威となり、センターリングでポジションを争う中、ワンツーや単発のヘッドショットを繰り出して的確にヒットさせた。
試合が進むにつれ、緊張感が漂い続けた。ペレス(31勝3敗2分、22KO)は長い時間にわたり先手を取り続け、クリンチの最中にレフェリーのボブ・ウィリアムズが両者に「ストップ」の指示を出さず、ボクシングを続けさせた場面では、ペレスが一方的な連打を浴びせ、ワードを一時的に苦しめた。この判断が、ワードにとって不利に働いたのは明らかだった。
2ラウンド後、ワードはダウンを喫し、ペレスの執拗な攻撃の前にストップ寸前まで追い詰められた。勢いづいたペレスは、オーバーハンドの左でワードを再び倒し、さらに左フックを重ねてダメージを与えた。
マーティン・マレーの指導を受ける35歳のワードは、すでに時間の問題だったが、最終的にレフェリーのウィリアムズが試合を止め、同時にタオルも投入された。
ウィリアムズ、判定勝ちで地元に貢献
イプスウィッチ出身のジャック・ウィリアムズは、フェルナンド・ホアキン・マルティネスとの4ラウンド戦で40-36の判定勝ちを収めた。試合後のインタビューでは、アルゼンチン人のマルティネスが126ポンドで契約体重を大きく上回り、本来ジュニアフェザー級(120.5ポンド)の自分より1階級上であったことへの苦労について語った。
それでも彼は気にする様子を見せず、試合終盤の第4ラウンドでもエネルギッシュな動きを維持し、主導権を握り続けた。
ヒサ、コルテを2ラウンドで沈める
ネルソン・ヒサ(23勝0敗、21KO)は、試合開始のゴングから圧倒的な内容でパトリック・コルテを制し、WBO欧州ヘビー級王座を防衛した。2ラウンドTKO勝ちという形で試合を終えたヒサは、試合後すぐにモーゼス・イタウマへの対戦要求を表明した。この発言は、『The Ring』が2024年のプロスペクト・オブ・ザ・イヤーに選出したイタウマが、ディリアン・ホワイトとの8月16日開催のメインイベントに抜擢されたというニュースが流れてからわずか1時間以内のことだった。
40歳のヒサは俊敏とは言えなかったが、対戦相手のコルテも足を使うことができず、早々に後退を強いられ、強打を次々に浴びる展開となった。初回にはドイツ人のコルテをダウンさせ、これは時間の問題に思われた。2ラウンド目には膝をつかせ、さらに痛々しいダメージを加えた末の決着となった。
ジョン・レイサム主審が試合を止めたのは2ラウンド2分5秒だったが、それ以前に止められてもおかしくない内容であった。
アダムス、再び勝利を飾る
6ラウンド戦を3連戦でこなしてきたビリー・アダムス(7勝0敗)は、今夜は4ラウンドの短期決戦で25戦の経験を持つアレクサンダー・モラレスと対戦。ジュニアライト級サウスポーのアダムスは、4月中旬にヨーク・ホールで2025年の初戦を飾って以来の登場であり、今回は距離のある試合をこなしながら再びフルラウンドを戦い抜き、勝利を収めた。
ギリー、オニェナニに阻まれ不満顔
コモンウェルス・スーパーウェルター級王者のサム・ギリー(18勝1敗1分、9KO)は、8ラウンド戦でタフで粘り強いギデオン・オニェナニ(7勝5敗1分)に苦しめられ、76-76の引き分け判定を聞いて落胆を隠せなかった。オニェナニは急遽代役として出場しており、ギリーにとってはルイス・グリーンとの再戦が再び流れた後の代替試合であった。
試合前、ギリーは3週間前にジミー・セインズとの南部地区タイトル戦で10ラウンド判定負けを喫したばかりのオニェナニを、自らが初めてストップする男になりたいと意気込んでいた。
しかし、その願いは叶わなかったばかりか、試合中はキアラン・マカン主審がリング中央で両者の間に頻繁に入り、注意を与える場面が続出。両者の絡み合うような荒れた試合展開は、リズムの途切れる断続的なものとなった。
カーン、ガルシアに苦戦も判定勝利
ウマル・カーンは、今夜の第2試合でモイセス・ガルシア(12勝14敗1分、6KO)を相手に79-72の判定勝ちを収めたが、内容は決して楽なものではなかった。
無敗のスーパーフェザー級(12勝0敗、1KO)のカーンは、第2ラウンドに左フックでニカラグア人を倒し、スタミナを使い切る勢いで攻め込んだが、次のラウンドではカウンターの2連打を受け、ダウンこそ免れたが冷や汗をかいた。
両者はボディを狙い合う接戦を繰り広げたが、ガルシアが回復してアウトボクシングに徹した後は、試合全体を通してカーンが主導権を握った。
ウィンチ、激闘の末に判定勝利で開幕飾る
リリー・ウィンチ(5勝0敗)は、大声援を背に積極的に前へ出る姿勢を見せ、チェコのカテリーナ・ドヴォラーコヴァに60-54の判定勝ち。女子フェザー級戦で今夜のイベントの幕開けを飾った。
両者は接近戦の応酬の中で血を流し、顔面に打撲を負いながらも激しく打ち合ったが、女子フェザー級の幕開けを飾る試合としてはっきりとした勝者が存在していた。
アンダーカード結果:
- ミドル級:ルイス・リチャードソン vs. ドミトリ・プロトクナス 判定勝ち(60-54)
- クルーザー級:マイク・ペレス vs. スティーブン・ワード TKO勝ち(9回0分49秒)
- フェザー級:ジャック・ウィリアムズ vs. フェルナンド・ホアキン・マルティネス 判定勝ち(40-36)
- ヘビー級:ネルソン・ヒサ vs. パトリック・コルテ TKO勝ち(2ラウンド2分5秒)
- ジュニアライト級:ビリー・アダムス vs. アレクサンダー・モラレス 判定勝ち(40-36)
- ミドル級:サム・ギリー vs. ギデオン・オニェナニ 判定引き分け(76-76)
- スーパーフェザー級:ウマル・カーン vs. モイセス・ガルシア 判定勝ち(79-72)
- 女子フェザー級:リリー・ウィンチ vs. カテリーナ・ドヴォラーコヴァ 判定勝ち(60-54)
※その他の結果は追って更新予定。