ティム・チューにとって2024年は忘れたい一年だったが、ジョーイ・スペンサーにとっては、そのすべての瞬間を分析する対象となっている。
不運、突発的なアクシデント、あるいはただの巡り合わせの悪さ。呼び方はどうであれ、チューは昨年、勝利を挙げることができなかった。とはいえ、後から振り返れば見え方も変わってくる。セバスチャン・フンドラとバフラム・ムルタザリエフに喫した敗北も、今ではそこまで悪いものには思えない。フンドラはジュニアミドル級のタイトルを2本保持し、そのサイズは多くのヘビー級選手をも上回る。ムルタザリエフはサイズこそ標準的だが、リング内での破壊的な戦いぶりは普通ではない。
とはいえ、フンドラとムルタザリエフは、スペンサーと比較されれば、より高いレベルのファイターと見なされているのが現状だ。憶測はさておき、スペンサー(19勝1敗、11KO)は世界タイトルを手にしたこともなければ、挑戦したこともない。ただし現在は3連勝中と波に乗っている。
スペンサーは、いわゆる破壊的なパンチャーではない。彼は通常、つま先で軽快にステップを踏みながら、滑らかなジャブを繰り出し、判定勝ちへと試合を運ぶスタイルだ。その戦法こそが、彼のキャリア最大の勝利を掴むための最善の道かもしれない。
とはいえ、たとえ元統一王者を相手にボクシングで圧倒していたとしても、もし相手のアゴに完璧な一撃を打ち込むチャンスが訪れれば、迷わず仕留めにいくだろう。
「もしアゴにしっかり当てられれば、倒せると信じているか? もちろんだ」とスペンサーはプレミア・ボクシング・チャンピオンズに語った。「俺は倒しに行く。判定でも、ストップでも、ノックアウトでも。とにかく、この試合に勝ちに行く。」
ボクシング界にあふれる決まり文句――聞き飽きたものばかりだ。「スタイルが試合を作る」などはその代表例だが、このスポーツには他にも数えきれないほどの常套句が存在する。
厳しく、精神的にも消耗の激しいトレーニングキャンプの仕上げに取り組むジョーイ・スペンサーは、そんな中でも最も使い古されたセリフのひとつを口にした――しかし、彼はそれを本気で信じている。
「ノックアウトが来るなら、来るさ。」