エマ・ドーランは、「イギリス人として50年ぶりにメキシコの地で世界タイトルを獲るボクサーになる準備はできている」と語る。
27歳の彼女は、メキシコシティ出身のイルマ・ガルシア(25勝5敗1分、5KO)が保持するIBF女子スーパーフライ級王座の指名挑戦者であり、タイトル奪取のために敵地へ赴く可能性が高い。
本来なら地元開催を望んでいたドーラン(8勝0敗、1KO)だが、英国人女子選手として初めてメキシコで世界王者になるという経験は、何にも代えがたい特別なものになると
『ザ・リング』に語った。
「それって本当にすごい経験になると思うの」とドーランは言う。「メキシコに行って、メキシコ人を倒すなんて、なかなかできることじゃないわ。」
「お金はあまりもらえないだろうし、こっち(イギリス)で試合するほど注目も集まらないかもしれないけど、それでも私は喜んでメキシコに行くつもりよ。」
「ソンブレロをかぶってリングに上がるわ(笑)。ほとんど報酬なんてないだろうけど、一生忘れられない思い出になると思うの。」
IBFが両者に対戦を命じたことを受け、現在は試合実現に向けて両陣営の交渉期間に入っている。合意に至らなければ、入札は11月15日に実施される予定だ。
「話し合いは今も進行中よ」とドーランは語る。「マネージャーのカール・グリーブスが、いくつかのプロモーターと話をしているところだから、これから数週間でどうなるか見てみましょう。」
「できれば12月の終わりに試合をしたいと思っているし、もしそれが無理なら来年の初めね。いまはジムでトレーニングしながら、正式な日程が決まったらすぐ全開で取り組めるように準備しているところよ。」
メキシコは、イギリス人ボクサーにとって伝統的に“鬼門”の地だ。最後に英国選手がメキシコで世界タイトルを奪ったのは、1975年12月までさかのぼる。
その夜、ジョン・H・ストレイシーがメキシコシティのモヌメンタル・プラサ・デ・トロスで、偉大なホセ・ナポレスに初回ダウンを喫しながらも6回TKOで逆転勝利。英国ボクシング史上でも屈指の“敵地での名勝利”を飾った。
ちなみに、その会場はイルマ・ガルシアが育ち、のちにボクシングを始めた場所から車でわずか1時間ほどの距離にある。44歳の彼女は2010年にプロデビューを果たし、2階級制覇を成し遂げた女子ボクシング界屈指のベテラン王者として知られている。
「イルマはこれまでいいチャンピオンだったと思うけど、彼女はもう44歳よ」とドーランは話す。「私は27歳で、これから上を目指すところ。ハングリーだし、準備もできている。」
「このチャンスを両手でつかみ取りたい。相手がどんなタイプかもわかっているわ。典型的なメキシコ人ファイターのスタイルで、足はあまり使わず、まとまった連打を出してくるタイプ。」
「私は自分のボクシングを貫けば問題ないと思う。彼女はサウスポーだから、その対策としてサウスポーの選手たちとスパーリングをして、動きに慣れておくようにしているの。」
無敗のドーランは、これまでキャリアで一度もつまずくことなく、過去2年間でニコラ・ホープウェル、シャノン・ライアン、ローレン・パーカーといった国内ライバルたちに連勝してきた。3人のうち1人しか敗戦経験がなかったが、全員がノリッジ出身で現在ニューアークを拠点とするドーランにポイントで敗れた。
彼女はいま、世界タイトルを手にすることで、より大きな舞台で戦うチャンスをつかみたいと考えている。
「自分は観ていて面白いタイプのファイターだと思うの」と彼女は言う。「もししっかりしたプロモーターがついてくれたら、すごくいい試合ができるはずよ。」
「この世界タイトル戦というトンネルの先の光が見えてきたし、そのベルトを持ち帰るのが目標。自分がどれだけ通用するか試す準備はできている。私は世界レベルの選手だと信じているし、それを証明するチャンスだと思うの。」
「そして、そのベルトを持ってイギリスに戻ってきて、初防衛戦を地元でやりたいわ。」