【ニューヨーク】—
エドガー・ベルランガのバッグは小道具でパンパンに詰まっており、その心は
オスカー・デ・ラ・ホーヤへの憎しみに満ちていた。
スーパー・ミドル級コンテンダーのベルランガは、「ザ・リングIII」を宣伝するための木曜の最終記者会見で、“ザ・ゴールデンボーイ”ことデ・ラ・ホーヤに対してありとあらゆる罵声を浴びせた。DAZNのペイ・パー・ビュー興行であるこの大会は、土曜夜にニューヨーク・クイーンズのルイ・アームストロング・スタジアムで開催され、ブルックリン出身のベルランガがイギリスのハムザ・シーラーズとのメインイベントに出場する。
デ・ラ・ホーヤへの侮辱や中指を立てるだけでは飽き足らず、怒りのベルランガはデザイナーバッグから女性用のウィッグ、ハイヒール、パンティ、そして札束を取り出し、それらをデ・ラ・ホーヤに向かって投げつけた。
「こっちはストリッパー用のプレゼントを持ってきたんだよ」と、ベルランガは怒鳴った。「これ覚えてるか? この写真、思い出したか?」
これは、2007年に撮られたデ・ラ・ホーヤが女性用下着、網タイツ、ハイヒール、ウィッグ姿で写っている悪名高い写真を揶揄したものだった。デ・ラ・ホーヤ自身は、当時コカインとアルコールに依存していたことを公表しており、この写真は彼をゆすろうとした2人の女性に仕組まれたものだったと主張している。
ボクシング界でも稀に見る粗野な行為だったが、デ・ラ・ホーヤはそれをある程度冷静に受け止めていた。
「まず座れ」と、デ・ラ・ホーヤは叫び返した。「お前は世界タイトルを一つも持っていない。1つもだ。世界タイトルを1つでも獲ったら俺に話しかけろ。」
52歳のデ・ラ・ホーヤは、6階級で世界王者となり、1992年のバルセロナ五輪では金メダルを獲得。2014年には国際ボクシング殿堂入りも果たしており、世代を代表する名ボクサーのひとりとして広く認識されている。
現在は引退しており、彼のプロモーション会社「ゴールデンボーイ・プロモーションズ」は、土曜夜の共同メインイベントでシャクール・スティーブンソンに挑む無敗のサウスポー、ウィリアム・セペダ(33勝無敗27KO)を擁している。一方のシーラーズは、フランク・ウォーレンの「クイーンズベリー・プロモーションズ」に所属している。
ベルランガとデ・ラ・ホーヤの確執は、かつてフリーエージェントとなったベルランガにゴールデンボーイが契約を持ちかけたことが発端となっている。その後両者はSNS上で挑発を繰り返し、ベルランガは「次に会ったら平手打ちを食らわせる」とまで公言していた。
この日の記者会見では、ベルランガ(28歳)が壇上でデ・ラ・ホーヤに詰め寄る場面もあったが、すぐに警備により引き離された。
「こいつ、プエルトリカンでもないだろ」とデ・ラ・ホーヤは叫んだ。「お前のプエルトリコのパスポート、どこだよ? 俺の方がよっぽどプエルトリコ人だ!」
ベルランガは、対戦相手であるシーラーズに対しても侮辱的な発言をしたが、それでもデ・ラ・ホーヤへの罵倒ほど過激ではなかった。シーラーズ(21勝無敗1分17KO)は、ベルランガ(23勝1敗18KO)に対して僅差のオッズで優勢とされており、今回が168ポンドのスーパーミドル級でのデビュー戦となる。
サウジアラビアのトゥルキ・アル・シェイクは、シーラーズがベルランガに勝利し、カネロ・アルバレスが9月13日にテレンス・クロフォードに勝利すれば、シーラーズが次のカネロの対戦候補になる可能性があると語っている。
なお、メキシコのアルバレスはベルランガに唯一黒星をつけた相手であり、2024年9月14日にTモバイル・アリーナで行われた試合でベルランガに判定勝ちしている。
デ・ラ・ホーヤは、そんな試合内容にも関わらず、敗戦を誇るかのようなベルランガの姿勢を嘲笑した。
「カネロに負けたってだけでパレードでも開くつもりか? 冗談だろ?」と彼は言い放った。
Keith Idec は『ザ・リング・マガジン』の上級記者兼コラムニスト。X(旧Twitter)では @idecboxing で連絡可能。