ジョエル・ディアスは、9月13日の大一番で激突する
カネロ・アルバレスと
テレンス・クロフォード、両者をよく知るトレーナーだ。
ディアスは2022年、ロシアのドミトリー・ビボルを指導し、アルバレスにキャリア2度目の黒星を与えた。また昨年の夏には、ウズベキスタンの
イスライル・マドリモフのセコンドにつき、クロフォードと互角に渡り合った末の判定敗北を見届けている。
そんな経験を踏まえ、ディアスは今回の試合の勝者について議論の余地はないと断言する。ラスベガスのアレジアント・スタジアムで行われるこの試合で、4団体統一スーパーミドル級王者アルバレス(63勝2敗2分39KO)がクロフォード(41勝0敗31KO)を迎え撃つのだ。
「勝つのはカネロだ。クロフォードに判定で明確に勝つと見ている。クロフォードがカネロに勝つ可能性は絶対にない」とディアスは
ザ・リングに語った。
「カネロはボクシング界の王者であり、ビジネス的にも彼が負けるわけにはいかない。カネロが負ければ、この競技は大きな威信を失うだろう。ただ誤解しないでほしい。クロフォードは私のお気に入りのファイターの一人であり、この時代のパウンド・フォー・パウンド最強だと思っている」
「試合は最初の4ラウンドくらいは面白く、互角の攻防になるだろう。カネロはこれまで数々の強打者のパンチを受けても、ひるむことさえなかった。カネロが『クロフォードには自分を痛めつけるだけの力がない』と感じた瞬間、前に出て圧力をかけ始めるはずだ。
クロフォードも反撃して試合を作るだろうが、彼は賢いファイターだ。ダメージを負えば安全に戦おうとする。その時こそカネロが試合を支配する。クロフォードはリング中央でカネロとパンチを打ち合うことはない。クロフォードがぐらついた場面はこれまでにもあったが、信じてほしい、カネロのパンチはユーリオルキス・ガンボアやエギディユス・カバラウスカスよりも遥かに強いんだ」
アルバレスは過去4年間で7試合連続ノックアウトなしだが、その間も複数の相手を倒してきている。
今回の試合の最大の焦点は、小柄なクロフォードがアルバレスのパワーに耐えられるかどうかだ。4階級制覇&2度の4団体統一王者であるクロフォードは、154ポンドでの試合はわずか1度しかなく、マドリモフ戦ではそれまでの11連続KO勝利も途切れた。CompuBoxのデータによれば、その試合でクロフォードはマドリモフに95対84で手数を上回り、158発多くパンチを繰り出していた。
「マドリモフは勝負に出ていたが、クロフォードはディフェンシブだった。はっきり取れたラウンドは2つくらいしかなかったと思う。いいショットを当てていたのはマドリモフだ。もし154ポンドでマドリモフがクロフォードに人生最大の試練を与えたなら、カネロが何をするかは想像できるだろう。こう言おう、マドリモフは“カネロの小型版”にすぎない。だがカネロには凶悪なパワーがあり、効かないと分かった瞬間に一気に畳みかける。それがメキシカンファイターというものだ」
ディアスはアルバレスの勝利を予想し、2026年に『ザ・リング』、WBA、WBO、IBF世界ライトヘビー級王者ドミトリー・ビボルとの再戦を見据えている。
「ビボルとのリマッチは素晴らしいだろう」とディアス。
「カネロと対戦するには“適切な相手”が必要だ。そうでなければファンは満足しない。でも結局のところ、カネロが誰と戦おうが、人々は必ず注目するんだ」
Manouk Akopyanは『ザ・リング・マガジン』の主任記者である。 X (旧Twitter)およびInstagramでは@ManoukAkopyanで連絡可能。