ラスベガス発――デレック・クエバスは木曜日、ブライアン・ノーマン・ジュニアがWBOウェルター級王座を「与えられたものだ」と主張した。
ノーマンは昨年5月18日、サンディエゴのペチャンガ・アリーナでジョバニ・サンティリャンを10ラウンドKOで下し、WBO暫定ウェルター級王者となった。その後、テレンス・クロフォードが昨年8月に正式王座を返上したことで、ノーマンが“正規王者”へと昇格。この経緯が、クエバスにとってノーマンの王座に対する正統性を軽視する理由となっている。
もっとも、こうした発言が、クエバス自身が王者ノーマンを番狂わせで破った場合に、ボクシング界からどう見られるべきかを強く訴える根拠にはなっていない。ジョージア州コンヤーズ出身のノーマンは、木曜日にムーンストーン・イベント・センターで行われた記者会見でクエバスの“矛盾したメッセージ”を指摘。クエバスはノーマンに対して自信満々に、自らの優位性を語っていた。
「君は素晴らしいファイターだ」
とクエバスはノーマンに語りかけた。
「いい選手だよ。でも俺の方がずっと強いし、ずっと賢い。土曜日の夜に、それが分かるさ」
ノーマンは呆れた様子で、クエバスが自分のほうがパンチ力があると主張したことに対し、いくつかの問いを投げかけて反論した。
「もしお前のパンチが当たらなかったらどうする?」
とノーマンは詰め寄った。
「もし俺のパンチも強かったらどうする? もしお前が俺のパンチを耐えられなかったら? もしもだよ? その質問に答えてみろよ。俺のパンチが効いたらどうする? もしお前が俺に当てられなかったら? もし俺がすべてにおいてお前を上回ってたら? 俺が王者であるのには、それなりの理由があるんだ。」
するとクエバスは、事実上ノーマンを「ペーパーチャンピオン(実績のない名ばかりの王者)」と切り捨てた。
「いや、違う。お前は本当のチャンピオンじゃない」
とクエバスは言い放った。
「お前は“本物の世界チャンピオン”と戦ってない。ただ与えられただけなんだ、ベルトは――わかってるだろ?」
クエバスとは異なり、ブライアン・ノーマンは無敗を誇っている(26勝0敗、22KO、1ノーコンテスト)。彼は、サンティリャン(33勝1敗、18KO)戦の前にジャネルソン・ボカチカとの試合で第1ラウンド終盤にダウンを喫したが、その試合はボカチカの額中央のカットによってノーコンテストとなった。
一方、30歳のクエバス(27勝1敗1分、19KO)は現在4連勝中だが、2020年12月にはダミアン・ボネッリとの6回戦でスプリット判定負けを喫している。アルゼンチン出身のボネッリは当時42歳で、戦績は23勝8敗。マイアミでクエバスに番狂わせを演じた。
クエバスはその敗戦以降のすべての勝利を、KOまたはTKOで収めている。しかし、さらにさかのぼると、2015年9月にはサミュエル・サンタナ(当時6勝10敗2分)との6回戦で、マジョリティ・ドロー(引き分け)に終わっている。
ノーマンは木曜日の記者会見で、クエバスがこれまで経験してきたどんな試合とも、今回の一戦はまったく別物になると念を押した。
「そんな過去の話なんて、どうでもいいんだよ」
とノーマンは言い放った。
「俺だってパンチはあるし、スピードもある。スタミナもあるから、バテたりしない。必要とあれば12ラウンドかけてでもボコボコにしてやる。お前には、それに耐えるだけのものがないんだよ。」
ブックメーカーもノーマン寄りの見方を示しており、DraftKingsでは彼が7対1の大本命とされている。クエバスはWBOウェルター級ランキングで13位に位置しており、ノーマンにとっては“選択防衛戦”にあたる相手となっている。
ESPNは、フォントンブロー・ラスベガス内のブルーライブ・シアターから生中継されるダブルヘッダー興行を放送する予定で、放送は東部時間午後10時(太平洋時間午後7時)にスタートする。
その中で、ブライアン・ノーマン vs. デレック・クエバスの12回戦はセミファイナルとして放送され、メインイベントではWBO女子ウェルター級王者ミカエラ・メイヤー(20勝2敗、5KO)が、イングランドのサンディ・ライアン(7勝2敗1分、3KO)と10回戦で激突する。
Keith Idec は『ザ・リング・マガジン』のシニアライター兼コラムニスト。X(旧Twitter)では[@idecboxing](https://twitter.com/idecboxing)から連絡可能。