デオンテイ・ワイルダーがいきなり危険な戦いに飛び込むとは思わない方がいい。
過去6年間でわずか1勝にとどまっている元ヘビー級王者は、自身が再びトップレベルで戦える力を持っているかを確かめるため、数戦の調整試合を行う予定だ。
ワイルダー(43勝4敗1分、42KO)にとっての最初の試練は、今週金曜にカンザス州ウィチタのチャールズ・コック・アリーナで行われるタイレル・ハーンドン(24勝5敗、15KO)との一戦だ。
グローバル・コンバット・コレクティブによるこのPPVイベントは、BLKプライム、Fubo、PPV.comなどを通じて24.95ドルで配信される。
「自分の状態が万全かどうかを確認したいんだ」と、ワイルダーは
『ザ・リング・マガジン』のインタビューで語った。「自分自身が一番の批評家だからね。そして、自信を失うことほど辛いことはない。
『今年はいくつか試合を予定していて、それらは調整試合になる。あえて“ウォームアップ”と呼ぶけど、これはリングに上がる相手に対する無礼ではない。今は調整の段階なんだ。以前のように、いや、それ以上に戻れるように、すべてを整えたい。』」
ワイルダーは直近5試合で1勝4敗と苦戦しており、その中には2020年と2021年の
タイソン・フューリー戦での2度のKO負け、2022年のロバート・ヘレニウス戦での初回KO勝利、2023年の
ジョセフ・パーカー戦での精彩を欠いた判定負け、そして直近では2024年6月の
ジャイレイ・チャン戦での衝撃的なKO負けが含まれている。
ワイルダーは、パーカー戦とチャン戦での敗北について、リングの外で経験していた「暗い時期」が大きな要因だったと語っており、その後は心理カウンセラーのもとでセラピーを受けている。
「ベテランであることは気分がいい」とワイルダーは語った。「自分は最高の舞台に立ったことがある。そのレベルに戻るために何が必要かも分かっているし、それには完璧なメンタルが欠かせない。その心構えは、今では10倍にも強くなったと感じている。」
10月に40歳を迎えるワイルダーは、今回が最後の挑戦になることを自覚しており、その本気度は
アラバマ州にカスタム仕様の近未来的なボクシングジムを建設するため、ほぼ100万ドルを投じたことからも明らかだ。
リング上部に掲げられたスローガンには「神の軍の王」と記されている。
だが、「ブロンズ・ボンバー」はあと何度、戦いに身を投じることができるのだろうか。
「俺はこれまでに多くのことを成し遂げてきた」と、フューリーとの対戦で王座を失うまでWBC王座を10度防衛したワイルダーは語った。
「ビッグネームとの復帰戦のチャンスもあったが、今年は調整試合の年にする。自分が口にすることを、今でも実行できるのかを確かめるためだ。そしてその課題をクリアしたら、来年は再びビッグリーグに戻る。
もう証明すべきことは何もない。地元には州が建てた俺の銅像もある。俺は歩く伝説、生きるレジェンドだ。だが、ヘビー級の統一王者になることは、いまも俺の目標の一つ。こうしてまた戻ってきた。準備はできている、ベイビー。」
Manouk Akopyan は『ザ・リング・マガジン』の主任ライター。
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