ロンドン発──
ディリアン・ホワイトは、
モーゼス・イタウマにわずか119秒で敗れる衝撃的な結果を受けても、現役を続けることを誓った。
「ボディスナッチャー」ことホワイトは、8月16日にANBアリーナで行われた試合で、
20歳の天才イタウマに圧倒的な内容で解体された。両者の経験差は圧倒的であったにもかかわらず、その差を覆す完勝劇だった。
この敗北により、戦績を31勝4敗(21KO)とした37歳のホワイトには、2011年から生活の糧としてきたボクシングから引退するのではないかとの見方も出ていた。
ホワイトは試合当日以降、公の場に姿を見せず、自身の将来について性急な決断を避けてきた。しかし9日後、彼はSNSを通じてボクシング人生がまだ終わっていないことを強調した。
ホワイトはこう記した。
「これは俺の物語の終わりじゃない。この試合には負けたが、俺を作り上げてきた炎は消えていない」
「苦楽を共にし、支えてくれたすべての人に感謝する。必ず戻ってくる」
ホワイトは2022年4月23日、ウェンブリー・スタジアムで
タイソン・フューリーに敗れて以来、キャリアが停滞気味となっている。この試合は彼にとって唯一の世界ヘビー級タイトル挑戦だった。
その7カ月後、ホワイトはジャーメイン・フランクリンに勝利して復帰し、2023年8月には
アンソニー・ジョシュアとの再戦で高額ファイトを手にする予定だった。しかし試合前のVADA検査で陽性反応が出たため中止となった。その後の調査で、汚染による結果だとして潔白が証明されたものの、英国のライバルとの再戦を実現させることはできなかった。
その後ホワイトは2024年3月までリングに戻らず、アイルランド・キャッスルバーでクリスチャン・ハマーを不可解なリタイアで下したのを皮切りに、12月15日にはジブラルタルでエベネザー・テテをセコンドストップに追い込み勝利を収めた。
ホワイトは、イタウマの快進撃を止めることで2度目の世界ヘビー級タイトル挑戦権を掴むことを狙っていた。しかし今回の敗戦により、その望みは潰え、再び白紙からの出直しを迫られることとなった。