デビッド・モレル・ジュニア はここ数年、ノックアウトを狙いすぎていたことを反省している。
2月1日、ラスベガスで無敗の
デビッド・ベナビデスと対戦した際、ノックアウトを追い求めすぎたことで感情に流され、自身の戦略から外れてしまったと語るモレル。T-モバイル・アリーナで行われた12回戦のライトヘビー級マッチで、モレルは判定で敗れたことを後悔しており、「打ち合いすぎた」と振り返る。
ベナビデス戦ではモレルも見せ場を作ったが、内に入りすぎず、もっとアウトボクシングに徹していれば勝つチャンスはあったと自己分析している。
現在戦績11勝1敗(9KO)のモレルは、7月12日にニューヨーク・クイーンズのルイ・アームストロング・スタジアムで開催される『Ring III』のPPVイベントで、
イマム・カタエフ(10勝無敗、9KO)との10回戦に臨む。相手はロシア出身の前進型ファイターであり、モレルにとってはキューバ仕込みのボクシング技術を発揮する好機となるはずだ。
「ノックアウトには固執していない」とモレルは『ザ・リング・マガジン』に語った。「みんな『ノックアウトが必要だ』『ベナビデスを倒さないといけない』と言っていた。でも今は違う。動くんだ。ボクシングをする。カタエフを倒せるチャンスがあればやるけれど、その瞬間が見えなければ無理にいかない。
10ラウンドでも12ラウンドでも動ける足がある。毎回ノックアウトにこだわる必要はない。キューバのボクシングで学んだことを生かしたい。何の意味もない攻撃でエネルギーを無駄にしたくないんだ。」
ただし、このより理にかなったスタイルへの回帰が、ファンを楽しませないという意味ではないとモレルは強調する。カタイエフは身長が低い右構えの選手で、2021年東京オリンピックで銅メダルを獲得している。
前WBAセカンダリー・スーパーミドル級王者のモレルは、5月2日にマンハッタンのタイムズスクエアで行われた前回のPPV興行で、試合の迫力不足に苛立ったファンと同じように、消極的なボクサーの試合を見るのが好きではないという。
「ボクシングに戻るっていうのは、リングの中を走り回ることじゃない」とモレルは言う。「ボクシングをやりたいというと『逃げる』と受け取るメディアがあるけど、それは間違いだ。歴史に名を刻んだ偉大なファイターはみんなボクサーだ。例えばフロイド・メイウェザーがそうだ。自分が言うボクシングとは“スウィート・サイエンス”だ。動き、スリップし、打ち、カウンターを返す。そういうことを言っている。リングをただ走り回るだけのボクシングには賛成しない。」
とはいえ、もう周囲の声に左右されて自分のスタイルを変えるつもりはないと強調する。そうした雑音に耳を貸すことで、2月のベナビデス戦で犯したような戦術的ミスを再び繰り返す危険があるからだ。ベナビデスは118-108、115-111、115-111の判定で勝利している。
「今回のキャンプと今後に向けて、最大の教訓として持っているのは、とにかく集中することだ」とモレルは語る。「雑音に惑わされず、目の前の課題に集中すること。そしてもう一つは、自分らしさを取り戻すことだ。
一部の雑音のせいで、自分らしくない戦い方をしてしまった。2〜3年前の自分に戻るのが楽しみだ。2月は少し足りなかった。それだけに、もっと努力しないといけない。」
ドラフトキングスのオッズでは、30歳で未知数のカタイエフに対し、モレルは5対1の有力視を受けている。この試合はDAZNでアメリカ(東部時間午後6時、$59.99)とイギリス(英国夏時間午後11時、£24.99)でPPV配信される。『The Ring』のライトヘビー級ランキングでは、モレルは8位に位置し、カタイエフ(10位)を2ランク上回っている。
Keith Idecは『ザ・リング』のシニアライターおよびコラムニストである。X(旧Twitter)@idecboxingで連絡可能。