世界の強豪に自らを試したいと語っていた
デビッド・アデレイだが、多くの予想通り、長年のヘビー級コンテンダー、
フィリップ・フルゴビッチを相手に力及ばなかった。
ファビオ・ウォードリーに7回TKO負けを喫してから丸2年を目前に、両者のキャリアは対照的な道を歩んできた。28歳のアデレイはこれでプロ2敗目。しかも今回は前回以上に痛手となる敗北だった。
サウジでの完敗後、アデレイは指導者をアダム・ブースに替え、環境を一新。かつて2階級制覇王者デビッド・ヘイを導いた名伯楽の下で、学ぶ姿勢を貫き、静かに自信を取り戻してきた。
彼自身「ミニクーパーからフェラーリへ」と形容したように、元スパーリング仲間ジェイミー・チケヴァとの英国王座戦から、わずか4か月でザ・リング誌6位のフルゴビッチ戦へとステップアップするのは無謀に近かった。
それでも経験豊富なクロアチア人を相手に一瞬の見せ場をつくり、10ラウンドを通して出力を持続できていれば、もっと違う結果も望めたかもしれないことを示した。
「正直、自分に腹が立ってるよ。もっと手を出すべきだったし、距離を取ってパンチを出して、スキルよりもパワーに頼むべきだった」とアデレイは試合後、ザ・リングのルイス・ハートに控室で語った。
「まだ世界に見せられていないが、俺には高いスキルがある。その力を世界に示さなきゃならないんだ。」
根拠の薄い自信を示す言葉だが、ラドブローク・グローブ出身の彼はそう言い切った。誰もが彼の身体能力とハイライトを飾る左フックを知っているが、フルゴビッチはそのベストパンチを受けても前進し続けた。
第8ラウンド後半、ダウンを喫した直後に30秒間パンチを浴びせ続ける迫力の猛攻を見せたものの、流れを引き戻すには至らなかった。
そのタフさは称賛されたが、判定では2人のジャッジからわずか1ラウンドしか取れず、苦い評価も伴うものとなった。
「自分がタフなのは分かっていたし、口だけじゃなくそれを証明してきた。だからいい感触はあるけど、俺の周りの人間――コーチたちは俺がどんなファイターか分かっている。
もしもう一度(フルゴビッチに)あれだけパンチを出せば、最終ラウンドまで立っていなかったはずだ。だから自分に失望してるんだ。傷一つないし、またジムに戻る。だから何か言いたい奴がいるなら俺の前に来い、次に戦ってやるよ。」
しかしプロモーターであるクイーンズベリーのフランク・ウォーレンは、負傷を抱えながらも勝ち方を知るベテラン相手に、アデレイの手数や攻撃の選択が不十分だったことに失望を示した。試合直後、BBCにこう語っている。
「デビッドは十分に手を出さなかったし、ジャブを使わなかった。フルゴビッチはダブルジャブを出して右を振っていたが、アデレイはパンチが少なすぎた。
彼は盛り返してパンチを出し始めたが、第8ラウンドではそれでも10-8を失った。フルゴビッチは典型的なタフなオールドスクールのヘビー級で前に出てくる。今回は深いカットもあったのに、デビッドは目を狙って悪化させようとせず、ジャブもほとんど打たなかった。だから彼のパフォーマンスにはかなり失望しているよ。」
コンピューボックス統計:アデレイは第8ラウンドで自己最多の18発を的中させたが、フルゴビッチは10ラウンド中9ラウンドでその数に到達、あるいは上回った。総パンチ数ではフルゴビッチが510発と、アデレイの244発を倍以上上回り、命中率でも7%高かった。若いアデレイは持続力を欠き、その差が如実に表れた。