ヘビー級世界王者ダニエル・デュボアは、今夏オレクサンドル・ウシクとの世界4団体統一戦に向けて準備を進めており、7月のウェンブリー・スタジアム開催を視野に入れている。
デュボア(22勝2敗、21KO)は、昨年9月にアンソニー・ジョシュアを5ラウンドKOで破って以来、試合から遠ざかっている。当初は今年2月、IBFタイトルの防衛戦としてジョセフ・パーカーとの対戦が予定されていたが、試合週にウイルス性の感染症により体調を崩し、直前で試合をキャンセル。その後はリンパ腺の問題から回復するために1か月間を費やしていた。
そして今回、『ザ・リング・マガジン』とのインタビューでデュボアは、WBC、WBA、WBO、リング誌王座を保持する無敗の王者ウシク(23勝0敗、14KO)との夏の統一戦に向けて完全に準備が整ったと明言した。
ウクライナのウシク陣営を率いるアレックス・クラシュークも、デュボアとの再戦実現に向けて交渉が進行中であることを認めており、“ダイナマイト”ことデュボアもその意向に同調。現在、両陣営の交渉は本格的に進められている。
「7月に間違いなくビッグファイトをやりたい。ウシクとの試合だ。それが俺の望みだ」と、ダニエル・デュボアは『ザ・リング・マガジン』に語った。
「いま舞台裏では話し合いや交渉が進んでいる。両陣営がやり取りを重ねているよ。
俺はファイターとしてやるべきことをやっているだけ。いつ誰との試合になってもいいように準備を整え、あとはゴングを待つだけ。地獄を解き放つ準備はできている。
ウシクとのウェンブリーでの試合は、AJ(アンソニー・ジョシュア)戦に似てるけど、もっと遥かに大きなイベントになる。世界最大の試合さ。しかも、あの時の借りを返すという意味でも気持ちは高まっている。
ウシクとの4団体統一戦は、歴史的な瞬間を生み出すことになるだろう。あれはとてつもなく大きな歴史的イベントになるはずだ。AJ戦のときみたいに、レスター・スクエアでの記者会見から盛り上がって……ああいう舞台の一部になれるのは本当に最高だと思う。
俺がウシクを止める男になる。それが見えるんだ。俺が彼を初めて倒す男になる。試合の発表はもうすぐだよ」
デュボアとウシクには因縁がある。両者は2023年8月に対戦し、ウシクが9ラウンドでストップ勝ちを収めた。
ただし、この試合は第5ラウンドの“ベルトライン・ショット”を巡って物議を醸した。デュボアが放ったボディブローがウシクのベルトラインを捉えたが、レフェリーのルイス・パボンはこの一撃をローブローと判定。試合は一時中断され、ウシクは回復時間を得た。
ウシクはその一撃から立ち直るのに約4分間を要したが、その後第8ラウンドにデュボアからダウンを奪い、次の9ラウンドで試合を終わらせた。
とはいえ、デュボアは次戦でジョセフ・パーカーやデレク・チゾラとの対戦の可能性も排除していない。
チゾラは現在IBFランキング2位に位置しており、4月22日付で『ザ・リング』は、彼がデュボアの指名挑戦者に正式指名されることを確認している。
IBFは、デュボアがウシクとの統一戦を行う場合に限り一時的な例外措置を認めるが、もしウシク戦が実現しなかった場合は、引退前最後の試合となるチゾラとの対戦が義務づけられる予定だ。
これについてデュボアはこう語っている。
「チゾラ戦には、そこまで興味があるってわけじゃない。でもまあ、いいんじゃないか? パーカーやウシク、AJ(ジョシュア)みたいなトップネームとの試合の方が俺としては気が乗るけど、チゾラ相手にカムバック戦って形でやるのもアリかもしれない」
「パーカー戦は“やり残した仕事”って感じだな。ちゃんと決着をつけて、外野を黙らせないといけない。でも、もしその前にウシク戦というビッグチャンスが来るなら、迷わずそっちを選ぶよ」