クリス・ユーバンク・ジュニア対コナー・ベンの試合週は本格的に始まっており、ここまで来るのに2年半かかったものの、エディ・ハーンは、自身の選手がトッテナム・ホットスパー・スタジアムを大きな勝利で後にするための条件が、今まさに完璧に揃っていると信じている。
イギリスボクシング界のレジェンド、クリス・ユーバンク・シニアとナイジェル・ベンの息子たちは、土曜の夜に開催される「ザ・リング・マガジン」初のボクシングイベントで、両家による“戦いの第3章”を飾る。この試合は
DAZN PPVで生中継される。
この試合に向けたビルドアップは波乱続きだった。その多くは、2022年10月に予定されていた元々の対戦前に、ベンがVADAの薬物検査で2度陽性反応を示したことに起因している。
その後、ベン(23勝0敗、14KO)は一連の疑惑から潔白と認定され、良くも悪くもこの試合はさらに大きな注目を集めることとなった。試合会場も、当初予定されていたO2アリーナの17,000人規模から、65,000人収容のサッカースタジアムへとスケールアップしている。
2022年当時、ユーバンク・ジュニア(34勝3敗、25KO)は圧倒的な有利とされており、この試合は競技的な観点から“茶番”とも見なされていた。しかしその後、ベンはジュニアミドル級で2度の試合をこなし、ユーバンク・ジュニアは2023年にノックアウト負けを喫したことで、両者の差は一気に縮まった。
ハーンは、キャリア初期からプロモートしてきた男が、今まさに人生最大の勝利を掴むには完璧なタイミングだと確信している。
「試合が中止になったあの日のことは今でもはっきり覚えている」とハーンは「ザ・リング・マガジン」に語った。「あの騒動、後処理、すべてが鮮明だ。前にも言ったけど、今このタイミングでコナー・ベンがユーバンク・ジュニアと戦うことは、彼にとって大きなボーナスだと思う。あらゆる経験を経て、彼は今のほうが大きく、そして強くなっている」
「その間にユーバンク・ジュニアもノックアウトされているしね。今が、コナー・ベンがこの試合に勝つためのベストなタイミングだと本当に思ってるよ」
「実はユーバンク・ジュニアが言っているように、体重だけの問題じゃないっていうのには同意してる。スキルや実力も関係してるよ。でも、クリスが話してた要素のすべてにおいて、コナーの方が上だ。彼の方が優れたファイターだし、パンチ力もあるし、フットワークもいい」
「ユーバンク・ジュニアはキャリアの終盤に差しかかってる。金も見えてるし、いろんなものが見えてる。でも勘違いしないでくれ、あいつはタフな選手だし、全力で来るとは思ってる。ただ、“どっちがどれだけ勝ちたいか”っていう話なら、2人を同列で語るのは違うよ」
ここ数週間、ベンが自分よりはるかに大きな相手とのスパーリングで衝撃的なパフォーマンスを見せているという噂が広まっている。
29歳のベンは、前回の試合でハイメ・ムンギアをノックアウトした168ポンドのコンテンダー、ブルーノ・スラーチェや、来週サウル“カネロ”アルバレスと対戦予定のIBFスーパーミドル級王者ウィリアム・スカールとスパーリングを重ねてきた。
ベンの父ナイジェルはすでに、マヨルカ島で行われたスパーリングで、息子がスカールを圧倒していたことをほのめかしている。
ハーンもまた、これらのスパーリングがベンにとって非常に好材料だったと認めており、今回のユーバンク・ジュニア戦がベンにとってキャリア初のミドル級での試合となることを強調している。
彼は「スパーリングについて話すのは本来タブーだけど、コナーの動きは本当に素晴らしかった。しかも相手はミドル級だけじゃなく、スーパーミドル級やライトヘビー級の選手たちともやってるんだ。もちろんスパーリングはスパーリング。本番の試合では小さいグローブで何が起こるか分からないけどね。」と言い加えた。
「うちは本当に勝つチャンスがあると信じてるよ。前にも言ったけど、もし指をパチンと鳴らして最高の状態のコナー・ベンを土曜の夜に呼び出せるとしたら、まさに今の彼がそれなんだ。正直言って、夢のようなキャンプだったよ」
「この前、彼に言ったんだ。きっと緊張すると思うよ。これまでも大きな試合を経験してきたけど、あの場に立つ瞬間は特別だから。俺なんか試合に出るわけじゃないのに、それでも緊張してるくらいだ。だからこそ、感情をしっかりコントロールすることが大切なんだと思う」