コナー・ベンとクリス・ユーバンク・ジュニアは、土曜日の夜、リング・マガジン初の興行となるメインイベントで、満員のトッテナム・ホットスパー・スタジアムを舞台に魂を込めた激闘を繰り広げた。しかし、勝利を手にして北ロンドンを後にしたのはユーバンク・ジュニアだった。
ベン(23勝1敗14KO)は試合後、ユーバンク・ジュニア(35勝3敗25KO)への敬意を認めたものの、すでにリベンジを強く望んでいることも明かした。
この28歳は、ユーバンク・ジュニアとの一戦に向けてウェルター級から2階級ジャンプアップしてミドル級に挑戦。父クリス・ユーバンク・シニアが息子のコーナーに復帰したこのスパーズの大舞台で、12ラウンドにわたり根性と闘志を存分に示した。
採点結果が読み上げられると、すべて116-112で35歳のユーバンク・ジュニアの勝利となり、ベンはロープにもたれかかりながら、落胆した表情を浮かべた。
試合後の記者会見でも、ベンは落胆した様子を見せたが、判定結果を嘆くことはせず、自らの敗因を振り返り、次回どう修正するかに焦点を当てた。
「リベンジがしたいんだ」と彼は語った。「2年半もここで戦っていなかったことが大きく影響した。久々にホームに戻ってきて、この舞台に立ったことで圧倒されたよ。」
「今日の差はただ“試合勘の欠如”だった。いろんな感情が渦巻いていて、受け止めるのが大変だった。この2年半で自分がどれだけ失ったのかと思ったけど、全然そんなことはなかった。160ポンドでもパンチを受け止め、打ち返すことができた。彼をぐらつかせた場面もあったけど、最後の一押しができなかった。それはリング・ラスト(試合勘の鈍り)のせいだと思っている。」
「負けるためにリングに上がったわけじゃない。勝たなければ意味がない。もっと良くならなきゃいけない。」
「辛いよ。自分は勝者でありたい人間だから、今夜は違った。ボクシングのようなスポーツでは、自分自身に最も厳しくならなければいけない。どうすれば改善できるか。今夜の出来は十分じゃなかった。良い試合を皆に届けることはできたけど、望んでいた結果ではなかった。」
「今夜、リングの中で持てるすべてを出し切った。でもそれでは足りなかった。だからもっと良くならなきゃいけない。」
ベンはまた、短いながらもユーバンク・ジュニアへの称賛の言葉を口にした。
二人の試合に至るまでの道のりは、2022年10月に予定されていた初戦で、イルフォード出身のベンが2度のドーピング検査に不合格となったことをきっかけに、有毒な空気に包まれていた。
今年2月、マンチェスターで行われた記者会見では、ユーバンク・ジュニアがベンの顔に卵を押し付ける一幕もあった。これは、世界ボクシング評議会(WBC)が、ベンの陽性反応は卵の過剰摂取によるものだとする見解を示したことを皮肉った行為だった。
ベンは、ユーバンク・ジュニアと友人になることは決してないと改めて強調したが、互いへの敬意は今後も消えることはないだろう。
「いまだにあいつは俺の好みじゃない」とベンは言った。「一緒に座って雑談するなんてことはないだろうけど、まあ、敬意はあるよ。12ラウンド戦ったんだから。クリスはクリスだ。この状況を踏まえたうえで、可能な限り好意的に見てる。」
「彼の無事を祈ってる。病院に運ばれたって聞いたし、顎を骨折してるって話も聞いた。早く回復することを願ってる。それから、シニアが来てくれたことに感謝したい。家族の問題だし、彼がいなければこの舞台は成立しなかった。」
「試合後、クリス・シニアを見て、『来てくれて本当にうれしい』って伝えた。周りがどう騒ごうと、親子の関係は変わらない。ボクシングにそれがなかったら何になる?俺ならボクシングよりも父との関係を取る。この試合が2人を再び結びつけたのなら、それだけで計り知れない価値がある。」