イングランド・ロンドン――2021年8月中旬、
リース・ベロッティはエディ・ハーンの自宅の庭で行われた試合で、アメリカの有望株
レイモンド・フォードに第3ラウンド早々にストップ負けを喫したばかりだった。
それは、ベロッティにとって過去2年間でわずか3試合目のリングだったが、そのすべてが敗北に終わっていた。実際、フォード戦での敗北により、ワトフォード出身のこのフェザー級ファイターは直近7試合のうち5試合で敗れていたことになる。突然、彼は重大な決断を迫られ、最も身近な人々も心配し始めていた。
「何かを変える必要があるっていう感覚は確実にあった」とベロッティはザ・リングに語った。
「妻と話したのを覚えてるよ。彼女に『いつまでも負け続けるわけにはいかないでしょ』って言われて、『うーん、分かってるよ』って感じだった。」
「誤解しないでほしいけど、自分自身にも迷いはあったよ。でも、本当のことを言ってくれるのはやっぱり身近な存在である妻なんだ。だけど、俺は彼女に『それが俺らしくない』って言った。自分の中ではまだやれるって確信があったから。」
「『分かってるよ、人がどう思ってるかは理解してる』って話した。ベロッティは終わった、もうダメだって。でも俺は彼女に言ったんだ。まだ終わってないって。彼女は誰よりも俺のことを分かってるし、俺が諦めてないことも分かってた。」
「だから辞めるんじゃなくて、一つ上の階級で挑戦してみる時だと思った。でも、あれだけ負けが続いて戻ってくるとなると、当然そこに金銭的な見返りなんてない。」
「だから金のためじゃなかった。理由は二つあって、一つはボクシングという競技を愛していること、そしてもう一つは、自分にはまだ出し切っていないものがたくさんあると感じていたからだ。」
妻のシャーロットとのその会話から4年が経ち、ベロッティの決断は正しかったことが証明されつつある。現在彼はスーパーフェザー級で6連勝中で、そのうち3試合は途中で決着をつけている。しかも対戦相手は簡単に倒せるような相手ではなく、6人合わせた戦績は85勝4敗1分という実力者揃いだった。
この連勝の中で、ベロッティは130ポンド級の英国王座と英連邦王座を獲得しており、今週土曜の夜にはボーンマス・インターナショナル・センターで、
DAZNの生中継のもと、無敗の
ライアン・ガーナーに挑み、ヨーロッパ王座を狙う。34歳にして、まさに驚異的な復活劇を遂げている。
「プラス4ポンドで戦えるようになって、すぐに違いを実感した」とベロッティは語る。「すべてが変わったし、結果がそれを物語っている。今回のライアン・ガーナーは、これまでのキャリアで最も手強い相手だと思っているから、それに見合ったトレーニングをしてきた。きっと彼も同じように準備してるだろうし、凄まじい試合になると思うよ。」
ベロッティはガーナーを軽視するつもりはまったくなかったが、17戦無敗の“ピラニア”ことガーナーは、サウサンプトンの自宅からほど近い会場で試合を迎えるため、ある種のホームアドバンテージも持っている。とはいえ、彼は伝統的な意味で世界タイトル挑戦の前に立ちはだかる最後の壁とも言える存在だ。
現在ベロッティは、主要4団体のいずれのランキングでもトップ15に入っていない。しかし、もし英国王座と英連邦王座に加えてヨーロッパ王座も手にすれば、世界タイトル戦の実現は果たして現実的なものとなるのだろうか。
「キャリアを通してずっと言い続けてきたんだけど、もし英国王座を獲れなかったら、それはファイターとして完全に期待外れだったってことになる」と彼は語る。「もちろん、数年前に負けが続いていた頃は、『もし英国タイトルを獲れたら、それだけでもう十分だな』って思ってたよ。」
「でも今は、自己信頼も取り戻してきたし、その過程で多くの経験も積んできた。だから今では、自分が世界レベルで十分戦えるってことを理解しているし、信じてもいる。年齢を重ねると、そういったことに対する考え方も少しずつ賢くなってくるけど、もはや世界戦が遥か遠くの夢だとは思っていないんだ。」
「でも、ガーナーに勝たなければそんなことを考えても意味がない。彼は地元の友人たちに囲まれて、大きなプレッシャーの中で試合を迎えることになるだろうし、俺との試合は間違いなく打ち合いになると思っている。」
「それがむしろ、今は楽しみで仕方がないんだ。」