クリス・ユーバンク・ジュニア対コナー・ベンの一戦まで、いよいよ残り数日となり、2年半前に予定されていた因縁の対決に、ついに決着がつけられようとしている。
この試合は、ビデオゲーム『餓狼伝説:City of the Wolves』を手がけたSNKゲームズとの提携による、リング・マガジン初のボクシング興行として、トッテナム・ホットスパー・スタジアムで開催される。
このビッグイベントを前に、元WBO世界ジュニアライト級王者バリー・ジョーンズと、元IBF世界ミドル級王者ダレン・バーカーの2人に話を聞いた。2人はともに
DAZNのPPV中継で解説を務める予定だ。
両者は試合を分析し、ユーバンク・ジュニアとベンが勝利するための鍵となるポイントをそれぞれ挙げた。
バリー・ジョーンズ
「ユーバンク・ジュニアのジャブが鍵」
数年前に最初に試合が組まれたときに比べて、今はより接戦になると思う。それは間違いない。最近の調子を見ると、両者ともそこまで試合数は多くなく、ほぼ同じくらいの活動量だが、直近のパフォーマンスを見る限り、どちらも決して素晴らしいとは言えない。だからこそ、勝者を予想するのは難しい。
それでも私はクリス・ユーバンク・ジュニアにやや分があると見ている。彼にとってジャブが勝利の鍵になると思う。
人々は彼(ユーバンク・ジュニア)の経験を忘れがちだと思う。体格ばかりが取り沙汰されるが、リーチや身長は彼にとって大きなアドバンテージになると思うし、本来の適正体重という点でも有利だ。そして何より、ジャブと足の速さも鍵になる。これらは、手も足も速いコナー・ベンにとっても厄介な要素だろう。ただ、これはベンにとって一つ上のレベルへの挑戦でもあると思うし、彼が素早く距離を詰められるかが鍵になる。
もしユーバンクのジャブが過去と同様に効果的であれば、ベンにとってはかなり苦しい展開になる。そういう意味で、私はユーバンクに大きな有利を与えたい。ただし、コナー・ベンにとっては、これは6ラウンド、7ラウンド、8ラウンドくらいで決着を狙うような戦いになるはずで、攻撃には相当な覚悟が必要だと思う。
とはいえ、それはリスクも伴う。踏み込みすぎたり、ミスを犯したりする可能性があり、ユーバンクは一撃で倒すようなパンチャーではないが、鋭いパンチを持っていて、それが大きな問題を引き起こす可能性がある。コナー・ベンがユーバンクを下がらせ、圧力をかけられるか? それは正直、分からない。彼のパンチには爆発力があり、人を傷つける力はある。特にユーバンクがリアム・スミスとの初戦で見せたように、「見えないパンチこそがダメージになる」というのは確かだ。
確かに彼(コナー・ベン)はそれをやれるだけの十分なハンドスピードを持っているが、それでも私は、彼がパンチをうまく巻き込むように打てるとはいえ、動き自体はかなり直線的なものに見えると思っている。だからこそ、その点を踏まえると、クリス・ユーバンク・ジュニアをかなり有力な勝者候補として見ざるを得ない。
ユーバンク・ジュニアのあご(耐久力)について?
うーん、ユーバンクには全体的に“消耗”が見えてきていると思う。以前はその強靭なあご(打たれ強さ)を誇りにしていた。昔から言っているけど、彼は父親(クリス・ユーバンク・シニア)の“あご”は受け継いだと思うが、パワーや強さまでは受け継いでいないと思う。
彼がノックアウトされた時の要因のひとつは、ロイ・ジョーンズ・ジュニアのスタイルを真似しようとしていたことだと思う。本人がそれを認めていたかどうかはともかく、映像を見れば明らかにロープ際で上下に動いたり、打たれる瞬間にターゲットから目をそらしたりしている。
実際には肘が当たった部分もあったが、それでも、グローブ越しに肘がかぶさるようなパンチを受けると、見えないまま当たってしまい、足が崩れる。まさにそれが起きた。
それでもその試合以前も以後も、彼は依然として打たれ強さを見せているとは思う。ただし、一般的には「あごにヒビが入ったら、もう元には戻らない」と言われる。……まあ、それは俺が今考えた言葉だけど、響きはいいだろ?
ダレン・バーカー
「打ち合いはベンに有利」
この試合は、おそらく前半と後半でまったく異なる展開になる可能性があると思っている。コナー・ベンが序盤から作る試合のペースは、非常に激しくなるはずだ。彼はとにかく止まらない。練習でも手を抜かず、常に全力。ジムでは一切ペースを落とさない選手だから、12ラウンドを全力で戦う準備はできている。
問題は、クリス・ユーバンク・ジュニアがどう対応し、どういうアプローチで試合に臨むかだ。彼は打ち合いに応じるのか、それとも自身の体格的な優位性を活かす戦術を取るのか。ジャブを使って試合を作れるのか——これまで彼のジャブが効果的だった場面はそれほど見られない。ロイ・ジョーンズと短期間一緒にやった時には少し見せたけれど、その後はあまり使っていない。
とはいえ、もしユーバンクが真っ向から打ち合いに応じる展開になった場合、私は序盤のラウンドではコナー・ベンに分があると思う。バリー(ジョーンズ)も言っていたように、ユーバンクには消耗の跡が見られるし、ダメージの蓄積もある。走行距離(リングでの戦い)も長い。だから、激しい展開になればなるほど、若くて勢いのあるベンに有利に働くと思う。
そう、経験という点ではユーバンクに分があるのは確かだけど、どうだろうね。少なくとも序盤に激しい打ち合いになれば、若さとフレッシュさのあるコナー・ベンに有利だと感じている。彼がここ数年離脱していた期間についても、見方は2つあると思う。
総合的に見れば、私は「序盤はコナー、後半はユーバンク」といった展開になると予想している。
ミドル級の相手に対して、コナー・ベンはダメージを与えられるのか?
ロドルフォ・オロスコやピーター・ドブソンは、どちらもタフな選手だ。本当にタフだった。オロスコは大きかったし、当時のコナーはまだ今のようにその階級に体がフィットしていなかった。そしてドブソンは、とにかく厄介で、屈強だった。
その試合を見ていたけど、コナーは序盤しっかりとしたボクシングをしていたと思う。全体的に悪くはなかった。ただ、ドブソンがとにかく強くてパワフルすぎて、倒し切れなかっただけだろうね。
でも断言できる。あの小さなグローブで打たれれば、たとえ“パンチ力がない”と紙面上で言われている選手でも、試合を終わらせることができる。
誰にでもチャンスはあるし、コナー・ベンにもそのチャンスは確実にある。そして、リアム・スミスとの試合で見たように、確かに肘が入ったとは思うけど、それでもユーバンク・ジュニアはダメージを受けていた。「鉄壁のあご」というあの無敵のオーラは、もう完全に消えてしまった。だから、そう、コナー・ベンがユーバンク・ジュニアをダメージさせることは十分に可能だと思っている。