クリス・ビラム=スミスは、トッテナム・ホットスパースタジアムで開催されたクリス・ユーバンク・ジュニア対コナー・ベン戦のアンダーカードにおいて、アメリカのブランドン・グラントンに12ラウンドの判定勝利を収め、世界タイトルへの夢を再び軌道に乗せた。
この試合は、ロンドンで開催された『リング』誌主催の初のボクシングイベントの最初の試合であり、
DAZN PPVでライブ配信された。
試合前の盛り上がりは、少なくともグラントン側からは非常に無礼なものであった。アトランタ出身のグラントンは、ビラム=スミスの息子について言及し、木曜の記者会見では「ボーンマスの英雄を脳に損傷を負わせる」と宣言した。
ビラム=スミス(21勝2敗、13KO)は、試合が終わったときに無礼な対戦相手に礼儀を思い出させると応じた。
最終的には、ビラム=スミスが正しかったことが証明された。壮絶な殴り合いとなったこの試合は、34歳のビラム=スミスが中盤から主導権を握り、116-113、116-112、116-112の判定で勝利を収めた。
第1ラウンドはビラム=スミスがジャブを打ち込もうとするところから始まったが、最初の3分間が終わるころには両者とも警戒心をあまり見せずにパワーパンチを打ち合う展開となった。ビラム=スミスは絶妙なタイミングの右ストレートを決め、グラントンも左フックで応戦した。
第2ラウンドでは、ビラム=スミスのアッパーカットが効果的に入り始めたが、グラントン(20勝3敗、17KO)のプレッシャーに対応するため、ボディショットも積極的に繰り出した。
第3ラウンドも激しい立ち上がりとなったが、目立ったパンチを多く当てたのは再びビラム=スミスだった。ただし、グラントンも左フックを次第に的確にヒットさせるようになり、ストレート右も一閃、ビラム=スミスの頭を大きく後ろに跳ね上げた。
第4ラウンドもハイペースで続き、グラントンが前に出てプレッシャーをかけ、ビラム=スミスはカウンターと後退しながらのパワーショットで応戦した。グラントンのジャブが効果を見せ始め、ビラム=スミスは横への動きを強いられる場面が増えた。
第5ラウンドもグラントンはプレッシャーを継続し、コンビネーションを多く放ったが、ビラム=スミスは大きな右ストレートを決め、グラントンの勢いを一時的に止めた。しかし、グラントンも左フックで即座に反撃した。
第6ラウンドでは、グラントンがスリップによりダウンを喫した。その後、立ち上がった直後にビラム=スミスが大きな右を決め、疲れが見え始めたアメリカ人をよろめかせた。
さらに、連続でグラントンがマットに倒れる場面があり、レフェリーはこれもスリップと判定したが、その直前にはビラム=スミスのパンチが当たっていた。
第7ラウンドでも激しい打ち合いが続き、リングサイドではビラム=スミスの妻ミアが、彼女とビラム=スミスの息子フランクの母として、目を覆う場面も見られた。
第8ラウンドでは、ビラム=スミスがグラントンの強烈な一撃を受けながらも耐えた。ラウンド終盤には両者とも疲労からかもたれ合う場面が増え、体力の消耗が明らかとなった。
第9ラウンドでは、ビラム=スミスがこの試合の中でも最高クラスの一撃を放った。アッパーカットでグラントンの頭を大きく跳ね上げたのである。その直後、両者が同時にパンチを当て合った際にもグラントンはぐらつきながらも、試合を変える一撃を求めて前進を続けた。この頃には、ビラム=スミスの経験が徐々に際立ち始めていた。
第10ラウンドは、ここ数ラウンドの中でビラム=スミスの最も印象的なラウンドとなった。足取りもしっかりと安定し、リング中央を支配しながら、前進を試みるグラントンに対して次々と右ストレートを打ち込み、優位を築いた。
第11ラウンドでは、グラントンの手数がやや回復したが、ビラム=スミスは引き続きパワーショットとジャブを当て続けた。ラウンド終了時には、グラントンはワイルドなフックを空振りする場面が目立った。
最終第12ラウンドでも同様の展開が続き、ビラム=スミスはセコンドの指示通りにボクシングを展開する一方、グラントンは試合をひっくり返すパンチを必死に探していた。
しかし、最終的に勝利を手にしたのは、2024年末にWBO王座をギルベルト・ラミレスに奪われたものの、再び世界王者を目指すビラム=スミスであった。
彼の二度目の世界王座獲得の夢は生き続け、彼は妻と息子の元に無事に勝利を手にして帰れることとなった。