トッテナム出身のヴィダル・ライリーは、アーセナルファンのチェヴ・クラークに判定勝ちを収め、英国クルーザー級王座とノースロンドンの誇りを手にした。
両者は試合週を通じて、それぞれが支持するセブン・シスターズのライバルチームのカラーを身にまとって過ごし、クラークはトッテナム・ホットスパースタジアムを「トイレ」と呼ぶ発言までしていた。
アーセナルの赤をまとったクラークは、スタジアムで名前がコールされると大きなブーイングを浴び、その後の試合内容も彼にとっては厳しいものとなった。ライリーはほとんどミスをせず、堅実なボクシングを展開した。
そのため、判定結果は驚きではなく、3人のジャッジはライリーの明確な勝利を支持した。ただし、クラークも12ラウンドを通じて常にライリーにプレッシャーをかけ、簡単な試合にはさせなかった。
キアラン・マッキャンは117-111と最も広い採点をつけ、ヴィクター・ロクリン(116-112)とマーク・ベイツ(115-113)はやや接戦と判定した。いずれにせよ、ライリーの支配ぶりを考えると、クラークから大きな不満の声は上がらなかった。ライリーはトッテナムの白地にネイビーブルーの縁取りのショーツを着用していた。
ライリーは、愛するサッカーチームのホームスタジアムで英国タイトルに挑戦できたのは運命だと語り、このチャンスを絶対に逃すまいと試合に臨んだ。太陽に照らされたトッテナム・ハイロード沿いのスタジアムに観客が続々と詰めかける中でのことだった。
序盤は特筆すべきアクションもなく、ライリーはすぐにリズムに乗り、バックフットで動きながらサークルするボクシングを展開した。一方のクラークも、これまでキャリアで武器としてきた体格とパワーによるインファイトに頼らず、ボクシングに徹するスタイルを選んだ。
しかし第4ラウンドになると、クラークは手数を増やし、強烈なボロパンチをライリーの鳩尾にヒットさせたかに見えた。しかし、もしライリーがダメージを受けていたとしても、それを一切表に出さなかった。ライリーは軽快なフットワークを維持し、クラークのジャブにカウンターの右ストレートを繰り返し当てた。
両者とも、リング中央に施されたスポンサー広告の上で足を取られる場面があり、第9ラウンドではレフェリーのリー・エヴリーが安全のためにタオルで拭く場面もあった。第10ラウンド残り1分では、両者が絡み合って転倒したが、どちらもダメージはなかった。
その後も、ライリーは粘り強く丁寧な攻撃を続けた。クラークは、サプライズでヴァージル・ハンターがセコンドについたものの、ライリーを捕まえるのに苦戦し続けた。
第11ラウンドでは、ライリーがこの試合で最高の一撃を放った。クラークが大振りの攻撃に出た隙を突き、見事なカウンター右ストレートを打ち込んだ。ハンターは第12ラウンド開始前、クラークに声をかけて奇跡的な逆転を促したが、それは実現しなかった。ライリーは最終ラウンドでも着実にラウンドを制し、王座を確実に持ち帰ることとなった。
この試合は、プロモーター同士の戦いでもあった。クラークはエディ・ハーン率いるマッチルーム所属、ライリーはベン・シャロム率いるボクサー所属でキャリアを積んできた。そして、メインイベントでマッチルームのベンがボクサーのユーバンクと対戦する前に、27歳のライリーがシャロム陣営にとって先制の勝利をもたらした。