ケイティ・テイラーとアマンダ・セラノが三度目の激突に合意したというニュースは、ボクシング界のほぼすべての場所で歓迎された。
――ただし、ノーサンプトンシャーを除いては。
WBC暫定スーパーライト級王者のシャンテル・キャメロンにとって、この発表は予想していたことではあったが、それでも落胆は隠せなかった。
2023年5月、当時140ポンド級の4団体統一王者だったキャメロン(20勝1敗、8KO)は、アイルランドへ渡り、ケイティ・テイラーとの一戦に臨んだ。結果は、激しい接戦の末にキャメロンが2-0のマジョリティ・デシジョンで勝利。テイラーにプロ初黒星をつけた。
しかし6か月後、両者はダイレクトリマッチで再び拳を交え、今度はテイラーがキャリア最高とも言えるパフォーマンスを披露。自身唯一の敗北をきっちりと返し、キャメロンのベルトをすべて奪還してみせた。
ケイティ・テイラーは、キャメロンとの決着をつけるのではなく、別のライバル関係を再燃させる道を選んだ。そして2024年、ジェイク・ポール vs マイク・タイソン(元ヘビー級王者の“影”との8回戦)という話題性抜群の興行のアンダーカードで、アマンダ・セラノと10ラウンドにわたる激闘を繰り広げ、観客の注目をさらった。
この試合でテイラーは、接戦の末に判定でセラノを下し、タイトルを防衛。2022年にライト級でセラノに勝利した試合と合わせて、2戦2勝とリードを広げた。
しばらく時間をかけて次の一手を検討したテイラー(24勝1敗、6KO)は、最終的に再びキャメロンを回避。代わりに、マルチ階級制覇王者のアマンダ・セラノ(47勝3敗1分、31KO)との三度目の対決を選択した。
この試合は、7月11日にマディソン・スクエア・ガーデンで開催されるMVPプロモーションによるオール女子興行のメインイベントとして行われ、Netflixが世界中に配信する予定となっている。
ケイティ・テイラーに敗れて以降、シャンテル・キャメロンはすでに2連勝を飾っており、再び大舞台でのチャンスを熱望している。確かに、セラノとのこれまでの2戦が壮絶な打ち合いであったことを考えれば、テイラーが“楽な道”を選んだとは言い難い。だが、それでもキャメロンは自分が無視されたことに納得していない。
「本当にフラストレーションが溜まる。三部作(トリロジー)ってのは、1勝1敗になったらやるものよ。そして、ケイティ・テイラーと1勝1敗なのはこの私だけ。なのに、こうなってる」とキャメロンは〈クイーンズベリー〉のインタビューで語った。
「結局のところ、私はケイティに勝ったし、ケイティも私に勝った。だからこそ、今になって彼女が逃げ腰になってるっていうのが現実よ」