先を見据えすぎて失敗したファイターは数多い。ビッグファイトを夢見て浮ついた結果、目の前の仕事を忘れてしまう者もいる。しかし、カネロ・アルバレスは、その流れに飲まれるつもりはない。
5月3日、アルバレス(62勝2敗2分、39KO)は、慣れ親しんだラスベガスを離れ、サウジアラビアでウィリアム・スカルと対戦する。この試合で好パフォーマンスを見せることは、さまざまな理由から極めて重要だ。
まず第一に、アルバレスは2度目のスーパーミドル級4団体統一王者を目指している。スカルは決して知名度の高い選手ではなく、実際、彼のファン層を除けば、ボクシング界でも彼の存在をよく知らない者が多い。
ある意味、アルバレスはこの屈強なIBF王者と戦う必要はなかった。しかし、この試合によってブランクを防ぐことができる。予想通りの結果を出せば、次は元4階級制覇王者で現WBAスーパーウェルター級王者のテレンス・クロフォードとのビッグマッチへと直行することになる。
この対戦が現実的なものになったのは、つい最近のことだ。クロフォード(41勝0敗、31KO)はこれまで何度もアルバレスに対戦を呼びかけ、今になってその挑戦に応じる意思を示している。自分より明らかに小さい相手を倒すことで批判を浴びる可能性はあるが、今の彼にとってはもはや気にならない。それよりも、クロフォードがエロール・スペンス・ジュニア、ショーン・ポーター、ケル・ブルックといった強豪を圧倒してきた試合を振り返ると、アルバレスの警戒心は一気に高まる。
クロフォードの戦績は確かに印象的だが、彼が積み上げてきたタイトルの数々も同様に目を引く。全体的に見れば、クロフォードの実績はアルバレスとほぼ肩を並べるほどのものだ。そのため、そしていくつかの理由から、アルバレスはもしこの対戦が実現すれば、ボクシング史上でも屈指のビッグファイトになると確信している。
「彼が成し遂げたことを見てくれ。そして、俺が成し遂げたことも見てくれ」とアルバレスはESPNのマイク・コッピンジャーに語った。「そんな二人のファイターが戦うことを想像してみろ。これはとてつもなく大きな一戦になる。巨大な試合だ。」