ブライアン・ノーマン・ジュニアは、今年2月に父であるブライアン・シニア(45歳)を指導し、グレッグ・ハケット戦の勝利へ導いた件について、「今後はグローブを置いて本格的にトレーナー業に専念するのか」と尋ねられると、笑いながらこう答えた。
「いやいや、あれはちょっとした“一発限り”だよ」
とノーマン・ジュニアは言った。
父にとっては2011年のドミニク・ウェイド戦以来の復帰戦で、無事勝利を収めた。それも終わった今、親子は本来の立場――父がトレーナー、息子がファイター――に戻り、今週末ラスベガスで行われるWBO世界ウェルター級タイトルマッチに向けて準備を進めている。ノーマン・ジュニアはデレック・クエバスを相手に初防衛戦を迎える。
ノーマン(24歳)にとっては、昨年5月にジョバニ・サンティリャンを10ラウンドTKOで下して王座を獲得して以来の試合となる。リング復帰までに時間が空いたことは少し気がかりだったかもしれないが、それが彼の意欲を損なうことはなかった。
「これはもう“ライフスタイル”なんだ」
とノーマンは語った。
「試合の日程が決まっていなかったり、直近で試合がなくても、俺はジムに通ってトレーニングしてたし、スパーもしてた。常に自分の調子を確かめて、鏡の中の自分に“今日は何を改善すべきか”を問いかけてきた。だから、いつでも自分自身を高め続けているんだよ。」
ジョージア州出身のノーマンは、プロとして順調な成長を見せてきたが、当然ながらその道のりには浮き沈みもあった。しかしその中で最高潮を迎えたのは、ジョバニ・サンティリャンをノックアウトで下した試合だ。そこで彼はパワーだけでなく、タフさも見せつけ、戦績を26勝無敗(20KO)に伸ばした。
「それはたぶん、親父に育てられたやり方なんだと思う」
とノーマンは語った。
「俺は根っからの勝負師で、言葉よりも行動を重視してる。口では何とでも言えるけど、やるべきことをやってなかったら意味がない。走り込みもしてない、地道な努力もしてない。じゃあ仮にやってるとしても、ただ“こなしてる”だけなら、それは本気で欲しがってないってことだ。本気ならもっと熱を持ってやってるはずさ。だからこそ、俺は自分の“ワークエシック(労働倫理)”と“精神力”に誇りを持ってる。徹底的にやり切るんだ。
12ラウンド戦うつもりで、俺は20ラウンド分の準備をしてる。多くの奴らにはそれができない。苦しい場面になれば、みんな折れるし、崩れる。いくら技術があってもな。だから俺は、ずっと相手の“限界スイッチ”を押し続けるつもりだ。それに、俺にも技術はある。じゃあ聞くけど、自称“技術ある選手”がどれだけそれを維持できる? どれだけ精神的に崩れずに耐えられる? だって俺は、12ラウンド全部、休まずに前に出続けるからな――もしお前がそこまで持つことができるなら、だけどな。」
そういった言葉は、若き王者の内側から自然に湧き上がるものではなく、膨大な試合映像の研究や、ボクシング界の偉人たちに対する自己学習の積み重ねから生まれている。ノーマンと話すと、そこにはこのスポーツを築いてきた先人たちへの敬意と尊敬の念が感じられ、それがまた新鮮でもある。
ただし、「一番尊敬している選手を一人挙げてくれ」と言われても、ノーマンにはそれができない。
「そういう意味で挙げられる選手はたくさんいるから、はっきり一人を選ぶのは難しいんだけど……パッと思い浮かぶのはマーヴィン・ハグラーだね。あと、ジェームズ・トニーの落ち着きとか冷静さも大好きだ。それを真似しようとしたこともあるよ。それからフロイド・メイウェザー――あのワークエシックは本当にすごい。そして単純に、ロイ・ジョーンズ。何もかも、運動能力も、自信満々な立ち振る舞いも好きだ。彼は“これは俺のリングだ”って顔してリングに入ってくる。それがたまらないよ。
他にもたくさんいるよ。サルバドール・サンチェス――あいつはヤバかった。彼のワークエシックもすごいし、リングの中での落ち着きも異常だった。試合中に一度も口で呼吸してないんだよ。そういうのも全部含めて、俺はボクシングの歴史を勉強するのが大好きなんだ。なぜなら、歴史は必ず繰り返されるって信じてるからさ。」
私が「サルバドール・サンチェスの名前を挙げる24歳なんて、ほとんどいないよ」と言うと――
「歴史を学ばなきゃダメなんだよ」
とノーマンは言う。そしてそれは、“いいこと”だけじゃなく、“悪いこと”や“醜い現実”も含めて、すべてを学ぶという意味だ。
彼は話を続け、マイク・タイソンがバスター・ダグラスに油断して敗れたこと、ロベルト・デュランが試合の合間に体重を大きく増やしてしまったこと、そしてマーヴィン・ハグラーがあまりにも長くボクシング界から無視され続けたこと――そんな過去の“教訓”を語ってくれた。
「ハグラーから学んだ一番大きなことは、彼の“メンタリティ”だよ、ただそれだけ」
とノーマンは語った。
「彼はキャリア初期からボクシングの“ビジネス”と向き合わなきゃいけなかった。本来ならベルトを手にしていたはずの試合で、ビジネスの都合で奪われた。でも彼は言ったんだ。『そういうやり方をするってんなら、もう誰にも勝利を奪わせない。自分でKOして勝つ』ってね。
そして今、俺も同じメンタリティでリングに立ってる。2人の男をリングに上げて“自分たちで決着をつけろ”っていうなら、ジャッジなんていらない。自分で決めるよ、この場でな。そしてそれをやるためのラウンドは、12ラウンドもあるんだからな」
ノーマンの自信は言葉の一つひとつににじみ出ており、憧れのファイターたちについて語るたびに、その自信はさらに増しているように見える。彼は今、自分が“大きな試合”に挑む立場にあること、そして世界中の視線が注がれる“特別な瞬間”を手にする準備が整っていることを理解している。
だがその前に、まずはプエルトリコのデレック・クエバスを相手に、WBO世界ウェルター級タイトルの初防衛を成功させなければならない。
「俺はすべてを“1日ずつ”で考えてるんだ」
とノーマンは語った。
「先のことを考えすぎると、今やるべきことを見失ってしまう。だから自分の中で“座右の銘”を作ったんだ。
それは――“今日を考えて、明日のために働く”。
今日何をすべきかを考えて、そのすべてに全力を注ぐ。なぜなら、それが明日につながると分かってるから。そして翌日も同じようにやる。そうすれば、いつの間にか、毎日1%ずつ成長してることになる。1%、また1%、さらに1%……そして気づいたときには、世界の頂点に立ってるんだよ。」
ノーマンが“真のファイター”であることは明白だ。そして彼のキャリアプランは、称賛や名声よりも“偉大さ”を追い求めることに重きを置いている。だからこそ、昨年、約200万ドルという高額オファーを受けながらIBF王者ジャロン“ブーツ”エニスとの対戦を回避した――という見方は、まったくのナンセンスだ。
そして、もしフィラデルフィア出身のエニスが4月12日にWBA王者エイマンタス・スタニオニスを破って154ポンドに階級を上げることになった場合、ノーマンが彼を追いかける意思があるのか尋ねられると、その答えは極めて明快で、微塵の迷いもなかった。
「まず第一に、俺は誰かを追いかけたりはしない。これは俺の人生であり、俺のキャリアなんだ。だから、誰を追うつもりもない」
とノーマンは語った。
「俺は腰抜けなんかじゃないし、誰かに頼る必要もない。俺に必要なのは、俺自身だけだ。だから俺はこれからも“ミックステープ”、つまりKOをどんどんリリースしていくよ。そしていずれ、ビッグファイトっていう“アルバム”をドロップする――つまり、それもまたKOで終わらせるってことさ。」
言い換えれば、“時が来ればすべては整う”ということ。今、大事なのはただひとつ――クエバス戦だ。
ちょうどかつてのマーヴィン・ハグラーが、夢のシュガー・レイ・レナード戦を語る前に、まずジョン・ムガビとの対戦に集中していたように、ノーマンの視線は今週土曜日、ラスベガスのフォンテーヌブローで行われるその試合に完全に向けられている。
「(ムガビは)25戦25勝25KOだったんだぜ」
とノーマンは語った。
「ちょっと考えてみてくれ。そんな相手に対して、最初はハグラーもボクシングで対応しようとしてた。でも何度もパンチをもらったんだ。そこで彼はこう言ったんだよ――“いいだろう、だったらどっちが本物の野獣(ドッグ)か試してやろうじゃねえか。お前の25KOなんて関係ない。俺がその男だ”ってな。
それでハグラーは真っ向勝負に切り替えて、ムガビを倒したんだ。もう完全に“闘犬モード”だったよ。相手の意思そのものを打ち砕いたんだ。」
それは、ただ一発もらって倒れるよりもずっと厳しい負け方だ――とノーマンも同意する。
「それってクセになる感覚なんだよな。前回の試合で、ジョバニ(・サンティリャン)を9ラウンドで止めることもできたと思う。でも俺はあいつの目を見たかったんだよ。“敗北した人間”の目だよ。それが見えると、止めたくなくなる。
だから9ラウンドで仕留められたのに、ちょっと遊んで、ちょいちょい当てながら見せつけたんだ。“これが俺だ”ってな。
で、10ラウンドに入って、さあゲームオーバーだって感じで片付けたんだ」
穏やかな南部紳士にしては、なかなか“ダークサイド”を持ってるじゃないか――そう言うと、ノーマンは笑って返した。
「それはシュガー・レイ・レナードから学んだんだよ」
と彼は笑いながら言う。
「人は笑顔とか、あのフラッシュある感じを見て“華やかなスター”って思うけど、俺は彼の目を見てた。あの目の奥には、マジで“悪”が見えた。試合になると完全に切り替わる。あの男の中には、闇がいたよ。」
私は、かつてレナードにインタビューしたとき、彼が「血を見るとヴァンパイアみたいになる」と語っていた話をすると、ノーマンの目がパッと輝いた――いつか自分も、ウェルター級の伝説と同じ文脈で語られる日を夢見ているのだろう。
「だから彼は“史上最高のフィニッシャー”って言われるんだ」
とノーマンは頷いた。
「アイツはエグかったよ、本当に。」
――そして、ブライアン・ノーマン・ジュニアの中にも、その“エグさ”はしっかりと宿っている。