長らく混迷を極めていたEBUライトヘビー級王座に、ついに新たなチャンピオンが誕生した。
ブラッド・レアは序盤で主導権を握り、中盤の緊迫した展開を耐え抜き、終盤には強烈なパンチで勝負を決めるなど、過酷な12ラウンドを戦い抜いてシャカン・ピッターズに判定勝ちし、土曜夜にヨーロッパ王座を手にした。
イングランド・ハルのコネクシン・ライブ・アリーナで行われたこの一戦は、
レアが3者ともに僅差(115-114、115-114、115-113)で
ピッターズを上回る接戦となり、DAZNで世界配信されたGBMスポーツの興行のメインイベントにふさわしい結末となった。
元ヘビー級選手で現在はプロモーターのイジー・アシフは「これまでで最高の試合」と称賛し、レアは「マンチェスターでの凱旋戦があるなら再戦も歓迎だ」と意欲を示した。
万全のトレーニングキャンプを経て臨んだレアは、試合週に「今回は判定までは行かない」と冗談交じりに語っていた。実際、彼が過去に10ラウンドを戦ったのは、2022年11月にタイラー・デニーとのイングランド王座戦で敗れた一度きりだった。
だが今回の相手は8歳年上で元英国王者の実力者。スタイルの違いがぶつかるこの試合は、最終ラウンドまでもつれ込む接戦となった。ただ、序盤はレアの若さと勢いが際立ち、試合を優位に進めた。
ピッターズの高いガードを前に、レアは序盤からボディを狙い、バーミンガム出身の相手の防御をいとも簡単に打ち抜いた。体格差を活かしきれないピッターズに対し、観客の声援を受けたレアはますます勢いを増していった。
第2ラウンド終盤には、レアが強烈な右をヒットさせた上でコンビネーションにつなげるなど、27歳の鋭い攻撃が印象を残した。直前にはピッターズも近距離で手数を出していたが、流れを変えるには至らなかった。
第3ラウンドはやや静かな展開となったが、第4ラウンドでは再びレアがボディ攻撃を主軸に圧力をかけた。ピッターズ(20勝2敗、7KO)は右ストレートを当てる場面もあったが、劣勢を覆すには不十分だった。
第5ラウンドに入るとピッターズが反撃。まるで厳しい指示を受けたかのように意欲を見せ、ボディをえぐると同時にポケット内でレアにパンチをヒットさせ、このラウンドでは優位に立った。
ただ、その後はレアが鋭いパンチでピッターズを一瞬硬直させる場面も見せた。試合は後半戦に突入し、レアが序盤から続けたボディ攻撃がじわじわと効果を発揮し始める。
第7ラウンドはフックの応酬となり、ピッターズはポジティブなボディランゲージでラウンドを終えた。対するレアは目の下にアザを作り、やや消耗の色が見えたが、それでもラウンド終盤には手を出し続けた。
第8ラウンドではレアの鼻から出血が見られ、マウスピースなしで戦う場面も。両者はアッパーカットを打ち合う激しい攻防を繰り広げた。第9ラウンドも打撃戦が続き、レアが再び勢いを取り戻し、強打で流れを引き寄せた。
フックを相手のガードの内側に打ち込み、先に手を出すレアのスタイルは、先週にウェルター級英国王座を7回TKOで防衛した親友コナー・ウォーカーを彷彿とさせるものだった。
最終ラウンド時点でも勝敗は五分五分。残り1分でレアが強烈な右フックを叩き込み、ピッターズの足元がぐらつく中で畳みかける。ピッターズも後退しながら必死に反撃を見せたが、勝利に届くことはなかった。
最終的にレアが判定での勝利を収め、再戦の可能性もある中で、層の厚いライトヘビー級において多くの選択肢を手に入れた。今はその余韻に浸る余裕すらある。