ニュージャージー州アトランティックシティ - ジャロン・エニスがイマンタス・スタニオニスを圧倒した土曜夜の試合は、まさに父でありトレーナーでもあるデレク “ボージー”・エニスが予想していた通りの展開となった。
147ポンド(ウェルター級)で行われた12ラウンドの王座統一戦は、試合の中盤にはスタニオニスのコーナーさえも懸念を抱くような一方的な展開に。だからこそボージー・エニスは、スタニオニスのトレーナーであるマーヴィン・ソモディオが第6ラウンド終了時に試合を止めた判断を称賛した。
リトアニア出身のスタニオニスは、6ラウンドを終えてコーナーのスツールに座りながら、ソモディオが話しかけるのを静かに受け入れ、抗議することはなかった。そのラウンドでエニスは、頭部とボディに多彩なパンチを浴びせ、中でも連続で左アッパーをボディに打ち込んだ後、頭部への左アッパーでスタニオニスを膝つかせた(第6ラウンド残り33秒)。
アマチュア時代から通じて一度もダウンを喫したことがなかった、打たれ強く粘り強いスタニオニスが、初めて膝をついた――その瞬間こそ、ソモディオが試合を止めた最大の理由のひとつだった。スタニオニス(15勝1敗、9KO、1無効試合)は鼻から激しく出血し、執拗に攻め続けたエニス(34勝0敗、30KO、1無効試合)から多数の強烈なボディブローを浴びた。エニスはこの勝利でIBF王座を防衛し、スタニオニスからWBA王座を奪取。さらに昨年、テレンス・クロフォードがジュニアミドル級転向に伴って返上した『The Ring』誌王座も手にした。
「俺は、あの判断は正しかったと思うよ。あんな風に打たれ続けるよりずっといい」と、ボージー・エニスは試合後の記者会見で語った。「あいつはひどくやられてたんだよ、分かるだろ? 顔はズタズタだったしさ。本当にひどい状態だった。あれは本人がギブアップしたのか? それともコーナーが止めたのか?」
ボージー・エニスは、試合を止めたのがスタニオニスのトレーナー、マーヴィン・ソモディオだったと知ると、彼の判断を称賛した。スタニオニスにとってキャリア最大の一戦となったこの試合で、ソモディオはレフェリーのデビッド・フィールズに自らストップを申し出た。
「トレーナーが止めたのか? それなら正しい判断だったよ」とボージー・エニスは語った。「分かるだろ? ‘ブーツ’(ジャロン・エニス)は、あのままいけば確実に彼をKOしていたよ。」
30歳のスタニオニスは、試合2日前に『The Ring』誌のインタビューで「もし負けたら、おそらく引退する」と語っていた。というのも、ウェルター級の王座を保持していた時でさえ対戦相手を見つけるのに苦労していたからだ。また、彼の妻エミリーは第一子(娘)の出産予定日を3日過ぎており、スタニオニスがDAZNのメインイベントとしてリングに上がったその時も、出産は目前に迫っていた。
試合後の記者会見で、ジャロン・エニスはスタニオニスへの敬意をこう表した。
「彼にリスペクトを送りたい。たしか今日か明日、子どもが生まれるんだろ? だから祝福を送るよ。無事に家族のもとへ帰れることを願ってる。新しい命をこの世に迎えるんだから、本当に素晴らしいことだよ。」
Keith Idec は『ザ・リング・マガジン』の上級ライター兼コラムニストである。X(旧Twitter)では @idecboxing で連絡可能。