ボマック「ジャーボンテイ・デービスはキーショーン・デービスと12ラウンドもたない」
執筆:ハンス・セミストード
キーショーン・デービスは今、喜びの涙を流すか、あるいは幸せすぎて泣くか――そのどちらか目前にいる。
ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで行われるメインイベントで、キーショーン・デービス(12勝無敗、8KO)は、デニス・ベリンチクとの対戦を迎え、ついに自身初となる世界タイトル挑戦のチャンスを手にする。注目が集まるのはウクライナのベリンチクだが、キーショーン・デービスの現トレーナーであるブライアン“ボマック”マッキンタイアは、もしデービスがこの一戦に勝利すれば、どれだけ大きなチャンスの扉が開かれるかをよく理解している。
ワシル・ロマチェンコとの統一戦が実現する可能性もあれば、ウィリアム・セペダとの初防衛戦の可能性もある。だが、なかでも最も魅力的な選択肢は、やはりジャーボンテイ・デービスとのメガマッチだ。
スター性という点においては、ボクシング界に限らず、世界でもボルティモア出身のジャーボンテイ・デービスに肩を並べられる人はほとんどいない。対戦相手を激しいKO劇で終わらせるという彼のスタイルは、巨額の報酬を生むだけでなく、彼をほぼすべてのパウンド・フォー・パウンド(P4P)ランキングに名を連ねる存在へと押し上げた。
現WBAライト級王者を“偉大”と呼ぶのは、むしろ物足りない表現かもしれない。「卓越している」という表現ですら、彼を称えるには不十分かもしれない。だが、どれほど称賛の言葉が並べられようとも、ボマックはジャーボンテイ・デービスがライト級最強のファイターだとは思っていない。むしろ、2人の“デービス”が対峙すれば、自身の主張が正しいことを証明できると確信している。
「キーショーンなら、ジャーボンテイのファイトスタイルを考えれば、終盤でストップできると思ってる」とボマックはザ・リング・マガジンのインタビューで語った。「そのスタイルで勝ち進めるのも、結局は“正しい相手”とぶつかるまでの話さ。」
キーショーン・デービスがジャーボンテイ・デービスとの対戦にたどり着く前に、その機会を先に手にするのがラモン・ローチだ。ローチとジャーボンテイは、3月1日、ブルックリンのバークレイズ・センターで開催されるPPVメインイベントで正式に対戦が決まっている。
ボマックによれば、ラモン・ローチのスキルは“脅威ではない”という。そして、いずれのラウンドかでジャーボンテイ・デービスが最終ゴングを待たずにローチを仕留めるだろうと予想している。
攻撃的でありながら、相手の反撃に対して無頓着とも言える姿勢を貫いてきたことで、彼はボクシング界でここまで驚くほどの成功を収めてきた。しかし、ボマックの見方では、ジャーボンテイ・デービスの対戦相手は、どれも“ワンパターン”の選手ばかりだという。そして、ボマックに言わせれば、ジャーボンテイ自身も多彩な引き出しを持つファイターではない。もしジャーボンテイが、これまでと同じ単調なスタイルでキーショーンと対峙すれば、すぐに自分にはピンチを切り抜けるだけの引き出しが足りないことに気づくはずだ。
「奴には変化のないひとつのスタイルしかないんだ。でもキーショーンは、ツールボックスを丸ごと持ってるような選手だからな。」