ボブ・アラムは、そのひねりの効いた提案を断れなかった。
最近、ある映画プロデューサーが彼に接近し、オスカー・デ・ラ・ホーヤを演じる俳優が必要な映画について相談した。アラムは、かつて“ザ・ゴールデン・ボーイ”と激しいライバル関係にあったフェルナンド・バルガスの息子、
エミリアーノ・バルガスを提案した。
「彼らは、オスカー・デ・ラ・ホーヤと[パトリック]シャルパンティエのサンボウルでの試合を映画化しようとしているんだ。あのときエルパソでは女性たちがオスカーに夢中だった」とアラムは『
ザ・リング』に語った。「その映画の主演を探していてね。ちょっとしたひねりになるけど、僕はエミリアーノがオスカーを演じるのがいいと思った。よく考えてみれば、彼はオスカーのようにルックスが良く、バイリンガルでもあるからね」
デ・ラ・ホーヤは過去30年で最も大きなスターの一人で、オリンピック金メダリスト、6階級制覇王者、そして2014年に国際ボクシング殿堂入りした興行面でも成功した存在だった。フェルナンド・バルガスもまた一流のスターだったが、アラムはフェルナンドの息子である21歳のジュニア・ウェルター級プロスペクトが、父を超える可能性があると見ている。
「まず第一に、私は彼の能力が好きだ」とアラムは言った。「そして第二に、彼の立ち居振る舞いや人々の反応を見ると、彼が大スターになれることが分かるんだ」
バルガスは見た目も振る舞いも役にぴったりで、土曜夜にニューヨークで自身のキャリアの次のステップを踏む予定だ。
ESPNは、ラスベガス出身のバルガス(14勝0敗、12KO)とエクアドルのアレクサンダー・エスピノサ(20勝3敗1分、9KO)による140ポンド級8回戦を、マディソン・スクエア・ガーデン・シアターからの三連戦のオープニングとして放送する。
成長中のバルガスは、3年前のプロデビュー以来、対戦相手の86%をノックアウトしてきた。一方のエスピノサは、プロ24戦でわずか1度しかKO負けを喫しておらず、それも過去7年間ではない。
「エミリアーノにはすべてのスキルがあり、人々を楽しませるためにリングに上がっている」とアラムは語った。「彼は大スターとして頭角を現すには、自分を売り込むことが必要だということをよく理解している。そしてそれを正しく実行しているんだ」
早熟なバルガスは、リング上での振る舞いだけでなく、そのほかの場面でもアラムを感心させている。
「彼は本当に素晴らしいよ」とアラムは語った。「最後に会ったのはラスベガスでのWNBAのエイセズの試合だったんだけど、彼のところに人が次々と寄ってきてね。みんなを魅了していたよ」
バルガス対エスピノサ戦が東部時間午後9時にESPNの中継の幕を開けた後、ブルックリン出身の
ブルース “シュ・シュ” キャリントン(15勝0敗、9KO)とナミビア出身のマテウス・ヘイタ(14勝0敗、9KO)が、WBC暫定フェザー級王座をかけて12回戦を行う予定だ。さらに、フロリダ州サンライズの
ザンダー・ザヤス(21勝0敗、13KO)と、メキシコ・ロスモチス出身のホルヘ・ガルシア(33勝4敗、26KO)が、空位のWBOジュニアミドル級王座をかけて12回戦のメインイベントで激突する。
Keith Idecは『ザ・リング』の上級記者兼コラムニストである。X(旧Twitter)では @idecboxing で連絡可能。