ベン・ウィッテカーは、物議を醸した初戦の5ラウンドでリアム・キャメロンについて知るべきことはすべて学んだと断言する。
昨年10月、ライトヘビー級の両者はサウジアラビア・リヤドで対戦し、興味深い展開を見せていたが、第5ラウンド終了時にロープ越しに後方へ倒れ込むというアクシデントが発生。ウィッテカーは続行不能となり、試合は採点に委ねられ、テクニカル・スプリット・ドロー(技術的引き分け)と判定された。
再戦は、4月20日(日)にバーミンガムのリゾーツ・ワールド・アリーナで行われ、Sky Sportsによって中継される。
ウィッテカー(8勝0敗1分5KO)が、リヤド・シーズンの雰囲気に飲まれて元英連邦ミドル級王者であるキャメロンを侮ったのか、それともキャメロンの粘り強いスタイルと地道なプレッシャーに手を焼いたのかは、本人にしか分からない。
いずれにせよ、キャメロンの着実な攻めはウィッテカーにダメージを与え、気づいた時には“本物の戦い”となっていた。
試合後の注目は、キャメロン(23勝6敗1分10KO)が勝利を逃した不可解な結末に集まったが、それと同時にウィッテカーにとっても、逆境を乗り越え自らの実力を証明する機会が失われたことを意味する。
足首を痛めたウィッテカーは、その後リカバリーを経てトレーナーを交代し、アンディ・リーのもとで再出発を図っている。
ウィッテカーは、キャメロンにとっては初戦が最大のチャンスだったと考えている。
「一度見れば分かる。もう見たし、もう感じたよ」とウィッテカーは『Sky Sports』の番組「The Gloves Are Off」で語った。「彼が信じるかどうかは別として、あれが俺の最悪の夜だった。それを体験できたのはむしろ良かった」
「彼が言う『パワー』も感じた。強引に攻めてくるのも、下がるのも全部感じた。一度体験すれば、それで十分だろ」
ウィッテカーが東京五輪で銀メダルを獲得してから、まもなく5年が経とうとしている。キーショーン・デービスやガラル・ヤファイのような同世代の選手たちは、すでに世界王者になったり、トップ戦線で活躍している。
もちろん、選手の成長スピードは人それぞれだが、キャメロンのような相手とのライバル関係が計画の一部だったとは考えにくい。
もしウィッテカーがこの再戦で明確な勝利を収め、新たな優れたトレーナーとともに、自らの成長に必要な本質を見出せたなら、この6カ月間の激動はプラスとなるだろう。
しかし、もしこのレベルでつまずけば、それは大きな後退となり、彼の「本当の実力」を問うことになるかもしれない。
ウィッテカー自身は、今回の試合がキャリア初期の「正念場」であるとは思っていない。彼は、築き上げた知名度と期待の大きさゆえに、常にプレッシャーの中で戦っていると語る。
「俺にとっては、どの試合もキャリアを賭けたようなもんだ」と彼は語った。「『リアム・キャメロンとの再戦だからキャリアが懸かっている』とは言えない」
「俺はトップに立つ者だ。みんな俺を引きずり下ろしたがってる。あの妙な夜のせいで、あいつにチャンスの扉が開いてしまった」
「でも、彼はもっと欲しがってる。ハングリーなんだ。味をしめたんだろう。でも、俺がその皿の上の飯を奪ってやるよ」