ジャニベック・アリムハヌリは、アナウエル・ンガミセンゲとの世界ミドル級統一タイトル防衛戦を3週間後に控えているが、依然として自身の現状に満足していない。
ハードパンチを誇るカザフスタン出身のサウスポー、ジャニベック(16勝0敗11KO)は、2022年5月にダニー・ディグナムを2ラウンドで圧倒した一戦から3か月後に暫定王座から正規王者へ昇格し、それから2年半にわたり王座を保持している。
だが、現在のミドル級はスター性やライバル構図が乏しく、4団体の指名挑戦制度や政治的な障壁によって、真の意味での統一王者が生まれにくい状況にある。そうした中で、ジャニベックの戦績は物足りなさを感じさせており、“ミドル級の絶対王者”としての地位はまだ確立されていない。
ジャニベック自身は、WBA王者のエリスランディ・ララやWBC王者のカルロス・アダメスとの統一戦を望んでいる。しかし、ハイリスク・ローリターンの構図や報酬面の問題もあり、いずれの王者とも統一戦は実現していない。
2004年9月のバーナード・ホプキンス、2005年7月のジャーメイン・テイラー以来、ミドル級では4団体統一王者は誕生していない。これまでに4団体統一を達成した王者は、すべての階級を通じて9名のみであり、160ポンド級は例外だ。
今月初め、『The Ring』誌の取材に応じた元WBO世界スーパーフェザー級王者バリー・ジョーンズは、他の階級と同様に浮き沈みを繰り返すミドル級の現状について次のように語った。
「ミドル級はいまだに支配者を探している。でも、それは悪いことじゃない。どの階級にもそういう時期はある。俺が世界王者になったときも、スーパーフェザー級には良い選手はいたが、決して層が厚いとは言えなかった。2年間ブレインスキャン(脳の検査)でリングから離れていた間に、エセリノ・フレイタス(WBO)、フロイド・メイウェザー(WBC)、ディエゴ・コラレス(IBF)、ジョエル・カサマヨール(WBA)が台頭してきた。」
この4人はいずれも当時無敗の世界王者であり、その後互いに対戦していった。メイウェザー(50勝0敗27KO)は2021年に国際ボクシング殿堂入りを果たし、ホセ・ルイス・カスティーリョは没後に同様の栄誉を受けた。なお、2000年にジョーンズにTKO8で初黒星を付けたフレイタスも、2021〜2022年のIBHOF選出候補に名を連ねた。
「世界タイトルを手にしても、名のあるビッグネームと大金がなければ意味が薄れる。当時は、クリス・ユーバンクにナイジェル・ベン、ロイ・ジョーンズJr.にはホプキンスや他の選手がいたからこそ盛り上がった。今は、そういう“華”のある名前がいない。でも、世界クラスの選手がいないわけじゃない。今のミドル級は、とにかく誰かに支配してほしいと叫んでいる状態だ。スキル面で言えばジャニベックが一番だが、アダメスは簡単には倒せない相手だ。」
ジャニベックは日常会話レベルの英語を話さないため、彼が求めるビッグマネーファイトを実現させるほどの知名度や商業的魅力を持っていない。無名の対戦相手との一方的な勝利が続いていることもあり、32歳の誕生日が迫る中で「世界レベルでの停滞感」が囁かれるのも無理はない。
ただし、その印象は、ンガミセンゲやその他の選手が“対等な敵”として立ち現れることで一変する可能性もある。
2024年においては、IBF世界スーパーウェルター級王者のバクラム・ムルタザリエフ(23勝0敗17KO)が多くの注目を集めた。彼は昨年4月、ドイツでジャック・カルカイを破って空位の王座を獲得した際に課題を露呈したが、その半年後にはティム・チュー戦で手の負傷を抱えながらも見事に勝利を収め、評価を高めた。
ジャニベックとムルタザリエフは、共にアメリカ・カリフォルニア州に拠点を置き、マネージャーはイギス・クライマスで同じだ。下の階級ながら、強打を武器にキャリア最高の1年を築いたムルタザリエフの動きを、ジャニベックが参考にするのは十分に理にかなっている。