リンドン・アーサーがダウンを喫しながらも立ち上がり、激闘の12ラウンドを経て
ブラッドリー・レアからヨーロピアン・ライトヘビー級王座を奪い、自身のキャリアに新たな息吹を吹き込む。
レア(ストレトフォード出身のマンチェスター・シティ・ファン)とアーサー(モストン出身のマンチェスター・ユナイテッド・ファン)の一戦は、この街が過去10年以上で目にした中で最も大きく、最も意味のあるダービーとなる。試合前の世論は割れていた。27歳のレアが野心とエネルギー、闘志でアーサーを押し切るか、それとも34歳のアーサーが得意のジャブと試合のペースを支配する能力で勝負を制するか、意見が二分していた。
試合開始直後からアーサーのジャブが鋭く突き刺さる。レアは被弾しながらも前に出続け、手を出すたびに危険な存在感を放つ。しかし、第2ラウンド終盤、左目が腫れ上がり視界が狭まる中、完璧なタイミングで左フックを炸裂させ、アーサーを大きくダウンさせる。
アーサー(25勝3敗、16KO)は、レアの追撃を耐え抜き、第2ラウンドを何とか乗り切る。
2022年に当時無名だったタイラー・デニー(後のヨーロピアン・ミドル級王者)に敗れ、テレビ放映から一方的に、そして不当に外されたレア(21勝2敗、10KO)は、その後数年間静かにキャリアを立て直してきた。今年6月、シャカン・ピッターズとの激闘を制して、空位のヨーロピアン王座を獲得していた。
大舞台で再びチャンスを逃す気など微塵もないレアは、腫れ上がる左目を無視し、アーサーのジャブと右ストレートを食らいながらも前進を止めず、隙あらば一気に打ち込んだ。175ポンド級に上げて間もないとは思えないほど、特に左フックでアーサーを脅かすパワーを見せつけた。
レアの攻撃的なラッシュが脅威となり、アーサーの手数はいったん減ったが、第5ラウンドでは落ち着いたボクシングで再び試合を掌握。かつて鋭かった右アッパーもこのラウンドから復活し、第6ラウンドでは、接近戦を狙うレアに次々とヒットを浴びせて距離を支配した。
何度もアーサーの右ストレートやアッパーで頭を弾かれながらも、レアは一歩も引かない。しかし反撃の手は次第に短く、勢いを失っていく。
試合が自分から離れつつあることを察したレアは、第10ラウンドでペースを上げようとするが、その積極性が裏目に出る。アーサーが持てるすべての武器を叩き込み、レフェリーストップ寸前まで追い込むが、レアは根性で耐え抜いた。
流れを完全に取り戻したアーサーは、無理に倒しに行かず、残り2ラウンドを冷静にボクシングでまとめる。レアに主導権を握らせる一方で、採点が接近する展開となる。
試合はフルラウンドの末、判定に委ねられ、結果はアーサーのマジョリティ・デシジョン(多数決判定)勝ち。スコアは114-114、115-113、115-112だった。