アードリアル・ホームズは、何かを「与えられる」タイプのファイターではない。いわゆる“泥の中から這い上がる”ようなスタイルでここまで来た。こうした状況を嫌がる者もいるが、ホームズは手を汚すことを厭わない。
プロキャリアは約10年に及ぶが、30歳の今、ようやくホームズに大舞台のチャンスが巡ってきた。それが、エリクソン・ルービンとの対戦である。ランキング上位のルービンとの試合だけでも十分にモチベーションになるが、IBFは5月10日のこの一戦にさらなる意味を加えた。
この試合が「IBF最終挑戦者決定戦」と正式に認定されたのだ。つまり、勝者はIBFの正規王者であるバフラム・ムルタザリエフへの挑戦権を得る可能性が高いということだ。ホームズにとっては、すべてが謙虚な気持ちにさせられる経験だという。早朝のランニングや深夜のトレーニング——そんな日々を、彼はいまも鮮明に思い出す。
当時は無意味に思えたその努力も、ホームズ(17勝0敗、6KO)にとってようやく報われる時が来たと感じている。
「すべての努力が報われていると感じる」とホームズはショーン・ジッテルのインタビューで語った。「ようやくここまで来た。あとは、このチャンスを最大限に活かすだけだ。」
IBF王座を保持するムルタザリエフとの対戦は、ホームズにとって“王冠の宝石”のような目標だが、そこにたどり着くには、まずエリクソン・ルービンという難敵を乗り越えなければならない。
ルービンはしばらくリングから遠ざかっていた。実力派コンテンダー、ヘスス・ラモス・ジュニアに勝利して勢いを得たはずだったが、なぜかその流れを生かすことができず、世界タイトル戦に進むどころか、1年以上も試合をせずにベンチに座っていた。フロリダ出身のルービンは、ブランクによる影響はないと主張しているが、ホームズはそれを鵜呑みにはしていない。
それでもなお、試合ではルービンが有利と見られている。しかし、ホームズは自分が不利だとされることにも、相手から浴びせられる挑発にも動じていない。試合当日は、言葉ではなく拳で語るつもりだ。
「彼はショックを受けることになるよ。」