アントニオ・バルガスは3戦連続でダウンを喫したものの、土壇場でダウンを奪い返し、
比嘉大吾との12ラウンドの激闘をユナニマス・ドローで終え、WBAバンタム級世界王座を死守した。
試合直後のリング上インタビューで、負傷により休養王者に昇格していた
堤聖也が丁寧な口調で、王座統一戦の実現を呼びかけた。
初防衛戦をより明確な結末で終えたかったバルガス(19勝1敗1分、11KO)だったが、5カ月前に堤聖也(12勝0敗3分、8KO)が経験したのと同じ結果を受け入れざるを得なかった。フロリダへの帰路は決して穏やかなものではなかったはずだ。
しかしその代わりに、28歳のバルガスは、試合の立ち上がりこそスロースタートだったものの、終盤にかけてギアを上げ、横浜・横浜文化体育館から
DAZNで生配信された世界戦三連戦の第2試合を力強く締めくくった。一方、比嘉大吾(21勝3敗3分、19KO)の王座獲得への挑戦は続くこととなった。
序盤3ラウンド、バルガスは慎重なペースで着実に進め、巧みなボクシングを見せていた。しかし第4ラウンド序盤、コンビネーションを放った瞬間に強烈な左フックを被弾し、防衛王者は突如キャンバスに沈み、立て直しを迫られる展開となった。
序盤3ラウンド、バルガスは慎重なペースで着実に進め、巧みなボクシングを見せていた。しかし第4ラウンド序盤、コンビネーションを放った瞬間に強烈な左フックを被弾し、防衛王者は突如キャンバスに沈み、立て直しを迫られる展開となった。
プロ11年目の比嘉は第5ラウンド序盤、王者のわき腹に見事な一撃を叩き込み、近距離で多彩な攻撃を繰り出していった。試合が進むにつれ、バルガスのディシプリン(集中力と戦術)が試される展開となっていった。
第6ラウンド序盤、比嘉はボディへの連打やワンツーを的確に決め、観客からはさらなる攻撃を期待する声が飛び交った。ややローブロー気味の場面もあったが、それでも手数を緩めることはなかった。一方のバルガスは、ジャブを軸に手数を抑えながら効率よく攻撃を組み立てていった。
後半戦に入ると、バルガスは引き続きラウンドを重ね、出入りのスピードでも比嘉を一歩上回っているように見えた。しかしその流れを断ち切るかのように、年長の比嘉が第9ラウンドに入り接近戦を泥仕合に持ち込み、より力強い攻撃をまとめて優勢に立った。
第10ラウンド終盤、美しい左フックが王者バルガスの顔面をクリーンヒット。バルガスはすぐにクリンチを多用し、比嘉の追撃を封じ込めようとした。
両者ともに疲労が見える中、最後のラウンドはアウェイのバルガスがわずかに優勢だった。彼はツーショットのカウンターをクリーンヒットさせ、一見それほどのダメージには見えなかったが、時間差で比嘉が膝をつき、正当にダウンと判定された。
比嘉は試合前のインタビューで、攻撃的な相手に対して結果を出す必要があると語っていたが、元ライバルである
中谷潤人――現在のRINGおよびWBC・IBF王者――が隣で見守る中、勝利をつかめなかったことに大きな悔しさを感じているはずだ。