アンソニー・ジョシュアの中には、世界的に見てミスマッチと捉えられているヘビー級の一戦において、
ジェイク・ポールに手加減しようという気持ちは「一切」存在しない。
ジョシュアは、2024年3月に
フランシス・ガヌーを壊滅させた時と同じように、ポールを徹底的に叩き潰す義務があると感じている。2度の統一ヘビー級王者であるジョシュアは、元UFC王者のガヌーを初回KOで下したが、その試合は、ガヌーが別の元王者であるイングランド出身の
タイソン・フューリーに対し、予想外に競り合った末に10回判定スプリットで敗れてから、わずか4カ月後に行われたものであった。
身長198センチ、体重約113キロのジョシュア(28勝4敗、25KO)は、フロリダ州マイアミビーチで行われた火曜夜の記者向けQ&Aセッションにおいて、自身の心境を次のように語った。
「相手がジェイクだからという話ですらない」とジョシュアは言った。「正直、今日自分自身を見つめ直していたんだ。自分はとても礼儀正しい人間で、良い家庭に育てられた。でも、もし相手を殺せるなら、殺す。それが自分という人間だ。これは自分の仕事なんだ。だから、行くしかない」
ブックメーカー大手のドラフトキングスは、
マイアミのカセヤ・センターから世界3億人以上の加入者に向けてNetflixが配信する8回戦において、比較的経験が浅く実績も乏しいポール(12勝1敗、7KO)に対し、36歳のジョシュアを12対1の大本命に設定している。ジョシュアは、現役で実績のある元王者と拳を交える資格がポールにはないことを証明するという責任を、真正面から受け入れている。なお、ジョシュアはプロ28勝のうち、約80%をKOで終えてきた。
「自分はボクシングを背負っている」とジョシュアは語った。「ガヌー戦でもそれをやったし、今回も同じだ。周囲の期待は理解している。ただし、それを背負っているのは、周りの期待があるからではない。自分自身に課している期待だけで、すでに十分だからだ。とはいえ、その期待を理解し、認識し、尊重はしている。それ以上、この試合について外部の声を気にすることはない」
ジョシュアは、ポール戦で約15カ月ぶりの復帰戦を迎える。最後にリングに上がったのは、2024年9月、ロンドンのウェンブリー・スタジアムで行われたIBF世界ヘビー級タイトル戦で、同胞
ダニエル・デュボアに5回KO負けを喫して以来である。
一方、オハイオ州ウェストレイク出身のポールは、直近の試合で、元WBC世界ミドル級王者
フリオ・セサール・チャベス・ジュニア(54勝7敗1分、34KO、無効試合1)を、6月28日にカリフォルニア州アナハイムのホンダ・センターで行われた10回戦で判定3-0で下している。この試合はクルーザー級リミットである200ポンド契約で行われ、28歳のポールは、2020年1月のプロデビュー以降、主にこの階級でキャリアを積んできた。
賛否両論を巻き起こす存在であるポールは、2023年2月に、タイソン・フューリーの異母弟である英国人ライバル、トミー・フューリーに8回判定スプリットで敗れた一戦を除き、黒星はその1度だけである。しかし、批評家たちが繰り返し指摘しているように、その戦績は、全盛期を過ぎた元MMAスター、引退したNBAのポイントガード、そして同じくソーシャルメディア出身のインフルエンサーたちに勝利することで築かれてきた側面が大きい。
Keith Idecは『ザ・リング』のシニアライターおよびコラムニストである。X(旧Twitter)@idecboxingで連絡可能。